葬儀後に利用可能な給付金とは?

人生における三大支出は「住宅資金」「教育資金」「老後資金」であるといわれます。

確かに、それぞれのお金の性質を考えると三大支出と呼ばれるのも納得です。住宅資金はマイホームの取得資金です。家を購入するためには、新築・中古問わずに多額の資金が必要になります。多くの人は住宅ローンで資金を用意して長い年月をかけてこつこつと返済します。返済総額を考えるとかなりの額で、人生の中で最大の支出になることも少なくありません。

教育資金も大きな出費です。子供一人の大学卒業までの費用は一千万円を超えるという有名な話があります。老後資金はただ生活するだけで二千万円は必要だと言われており、介護や病院の費用を合わせるとさらに必要だとか。人間が生まれてから死ぬまで稼ぐことのできるお金の総額は定年まで週休二日でずっと働いて約二億円という話です。もしかすると、人が生きて死ぬまでの必要費用は人間が一生のうちに稼ぐことのできるお金と等しいかもしれません。

しかし、人生のおける大出費は、何も三大支出だけではありません。車が必要であれば、中古・新車問わず大きな買い物になります。急な入院だって大きな出費です。結婚資金だって大きな出費だからこそ、金融機関はブライダルローンというローンを提供しているのです。この他にも、大きな出費といわれて皆さんが連想するものはありませんか。

そう、葬儀です。葬儀は大きな出費の筆頭です。三大支出の中には含まれませんが、葬儀には一般的に数十万円から数百万円の費用を見込まなければいけないと言われています。預金があってもポンと出せる金額ではありません。

今回は人生における大きな支出の一つである葬儀費用について考えてみましょう。葬儀費用に役立つ給付金も合わせてご紹介します。

葬儀にはどれくらいの費用がかかるの?目安

日本消費者協会の調べによると、葬儀に必要な費用の目安は何と196万円という結果でした。内訳は、葬儀の会場や道具に約121万円、お寺へのお布施などに約47万円、飲食接待費が約30万円という結果でした。これらの金額を合計すると大体190万円以上という結果になります。どうでしょう。かなりお金が必要になるという印象を受けるのではないでしょうか。

葬儀費用の目安を考えると、確かに教育費や老後資金より額の面では下です。教育費は一千万円、老後費用の最低ラインは二千万円が目安ですから、額が一桁違うことになります。しかしここでよく考えなければいけないのは、老後費用は定年後必要になる生活費などの総額であり、教育費は大学までの費用の総額であるということです。つまり十年以上の長い時間をかけて必要になるお金であるということです。

しかし、葬儀費用はどうでしょう。家族が亡くなって葬儀を出すまで長くても数日から一週間くらいです。時間が上手く合えば一日で終わらせることもあります。一日から一週間で196万円が必要になると考えると、かなりの出費といえるのではないでしょうか。

これだけの額をぽんと預金から出せるのならば、特にお金のことを気にする必要はないかもしれません。しかし、いきなり出すには難しい額だからこそ、常日頃から「葬儀費用はどうしよう」ということを意識しておくことが必要なのではないでしょうか。

ある日突然やって来る100万円以上の出費。毎月こつこつ貯めるにしても、毎月1万円ずつ積み立てるなら葬儀費用の目安額が貯まるまで196カ月もかかる計算です。単純計算で大体16年かかることになります。しかも196万円という金額目安はあくまで家族一人の葬儀に必要になる額です。自分の両親が健在なら、両親二人の分を考えておかなければいけません。同時に、葬儀に関するお金の知識も深めておくことが大切です。

葬儀資金の助けにしたい給付金

積み立てをしても葬儀に必要な目安額を貯めることが難しい以上、活用できる給付金はしっかりとおさえておきましょう。額はさほど大きいわけではありませんが、葬儀の際には助けになってくれるはずです。

故人の遺産で支払いをするという方法もあるのですが、一般的に相続手続きは葬儀後に行うことになります。書類の準備が必要になる手続きが多いため同時進行だととても大変なのです。相続手続きが済まないうちに預金などの故人の遺産に手を出してしまうと、相続放棄などの裁判所手続きにおいて相続放棄が認められない場合がある等のペナルティが考えられます。

だからこそ葬儀費用は故人の遺産をあてにするのではなく、「立て替え払いできるだけのお金を用意しておく」「喪主などの葬儀を出す側が工面する」ことが基本になるのです。基本が基本だからこそ、給付金は条件をしっかり把握して受け取りたいものです。

給付金は加入している保険によって違いが?

葬儀を出すと、保険の加入状況に応じて給付金を受け取ることができます。国民健康保険に加入しているのか、それとも特定のお仕事の人だけが加入できる共済制度に加入しているのか、各社の保険組合に加入しているのかによって給付金の名前や手続き方法、額が異なってきます。

国民健康保険に加入している人は自治体の窓口が手続き先になります。会社の健康保険組合や共済制度に加入している場合は、会社の総務やそれぞれの保険の窓口が手続き先になります。喪主あるいは葬儀を出した人に対して給付されることがほとんどです。手続きに関しても手続き先によって違ってきます。詳しくは加入している保険ごとの窓口に確認してください。

気になる給付額ですが、これも加入している保険によって変わってきます。一般的に特定の職業の人だけが加入できる共済などは金額が高めです。多くの人が加入している国民健康保険の場合ですと、自治体により差があるのですが、3万円~7万円くらいが給付額になります。会社の健康保険の場合は上限で5万円くらいというところが多いようです。

給付金の額は全般的に小さめです。しかし相続手続きと異なり、難しい書類はほとんど必要ないという場合がほとんどです。喪主の預金通帳や印鑑などが主として手続きに必要なものになります。葬儀の準備と一緒にすることもできる手続きです。余裕がありそうなら、給付金を早く受け取るためにも葬儀に必要な届出と同時に提出してしまうのがいいでしょう。

最後に

葬儀には多額のお金が必要です。総額面では人生の三大支出に及びませんが、数日あたりに支出する額としては人生においてトップクラスの費用であるに違いありません。この葬儀費用をどうやって工面するかについては、これからすぐに葬儀という段階で考えるのではなく、前々から積み立てをするなど準備をしておくことが望ましいといえます。

また、お金の工面について考えるだけでなく、給付金についても知っておきましょう。給付金はどの健康保険に加入しているのかによって給付額や手続きが変わります。手続きについてもこれからすぐに葬儀という段階で調べるのではなく、前々から確認しておくと便利です。