知人や親族のお通夜や葬儀に出席する場合、比較的休みの申請がしやすいのが日本の特徴です。昔から日本では葬儀は特別なことであると考えられていたからです。しかし、現代はライフスタイルも多様化しており、お通夜や葬儀のスケジュールによっては、頑張っても時間を作ることが難しい場合があります。
例えば海外や日本国内でも遠方に住んでいる場合は突発的にお通夜や葬儀の連絡をもらっても出席が難しいことがあります。重要な用事が重なってしまい、出席が難しいという場合もあることでしょう。
お通夜や葬儀にはなるべく出席したい、協力したいと考えても、どうしても都合をつけられず欠席することがあります。そんな時はどのように連絡し、どのように対応すべきなのでしょうか。葬儀にまつわる疑問の中から「お通夜や葬儀を欠席する時はどうすればいいの?」という疑問についてお答えします。
目次
お通夜や葬儀を欠席する際はどうすればいい?
お通夜や葬儀にはなるべく出席したいものです。お通夜や葬儀は故人とのお別れの場であり、故人が主役の最後の場です。故人と縁があったなら、心を込めて送りたいと願うことでしょう。
しかし、どうしても事情が許さず、お通夜や葬儀を欠席しなければいけないことがあります。事情があるなら、お通夜や葬儀を欠席することに罪悪感を覚える必要はありません。事情に沿った心を尽くせば、それも一つの故人と遺族への真心に他ならないからです。お通夜や葬儀の場以外で礼儀を尽くすことを考えましょう。
まずお通夜や葬儀を欠席しなければならない時の連絡についてお話しします。
欠席の連絡は、欠席が確定したら至急行います。参列できるかどうかわからないという不確定な状況では、葬儀を出す遺族側が困ってしまいます。お通夜や葬儀の準備は時間との戦いです。遺族に負担をかけないように急ぎで行います。
返信用ハガキで連絡を求められているなら、出席しない旨チェックし投函します。ハガキには出席できない事情を詳細に記載する必要はありません。「どうしても事情があり欠席すること」と「お悔やみの言葉や遺族を労る言葉」を添えておきましょう。長文ではなく、シンプルな言葉で構いません。電話で伝える場合も出席できない詳細な事情は伝えず、お悔やみと出席できない旨をシンプルに伝えましょう。
連絡の他には?葬儀欠席の際の5つの方法とマナー
出席できないことを伝えた後は、次のような準備をします。①から⑤のすべてをするわけではなく、この中から故人との関係や葬儀の規模、自分のスケジュールに合わせて選択します。特に注意する点と合わせて個別の方法について解説を進めます。
①香典を送る
お通夜や葬儀に出席しなくても香典を送ることが一般的です。香典は現金書留で送るか、葬儀が終わってから持参します。スケジュールによっては葬儀前に持参することもあります。
香典の金額は、葬儀に出席していたとしたら包んでいた金額になります。欠席したからといって倍包まなければならないといった決まりはありません。相場は親族が1~10万円、ご近所や友人知人は3千円~となります。地域によっても香典の相場が異なります。金額がわからない時は同じ葬儀に呼ばれた方や地域の葬儀店などにそっと確認してアドバイスをもらってください。
香典だけを渡してもいいのですが、香典の中にお悔やみの言葉と遺族への労りの言葉を記載したメッセージカードなどを付ける方もいます。気持ちが伝わる丁寧な対応です。
②弔電の手配をする
お通夜や葬儀の規模が大きいと予想される場合は弔電を送るという方法があります。家族だけの小さな葬儀で弔電を読むということはなく、弔電を送る方もあまりいません。しかし規模の大きな葬儀では儀式の中で弔電の読み上げが行われます。葬儀の規模を考えて手配を行うのがいいでしょう。
仕事上で縁のあった方の社葬でも、よく弔電の手配が行われます。配送が葬儀に間に合わなければ意味がありません。手配は欠席の連絡後すぐに行うようにしましょう。
③供物や供花を送る
葬儀場に供物(香炉や缶詰・果物などの詰め合わせなど)や供花を送ります。弔電と同じく葬儀に間に合わなければ意味がありませんので、手配は急いで行います。
注意点としては、葬儀の規模や形式に留意することが一つです。家でひっそり近所にも故人の死を伝えずに葬儀を行うのに、大きな花輪を送ってしまってはかえって迷惑になります。他の列席者が既に香炉を供えているのに、同じ香炉を送っては遺族が困ってしまいます。また、神道式の葬儀なのに仏教式の供物を送っても場違いになってしまいます。
いきなり供物や供花を送るのではなく、手配する前に遺族や葬儀場へ「葬儀の規模と形式」「送るものと、送っても大丈夫か」を確認するようにしましょう。
④弔問する
葬儀が終わった頃に家へ弔問して故人に手を合わせるとともに、遺族へお悔やみと労いの言葉を伝えます。弔電や香典、供物などを送って葬儀が終わってから弔問という流れが一般的です。
弔電や供物は送らず弔問だけすることもあります。香典もあえて送らず、弔問の時に渡しても大丈夫です。もし香典を既に渡しているなら、線香や果物、お花などを持参するといいでしょう。
葬儀後は遺族も疲れています。四十九日といった法要の準備がはじまっていることもあります。弔問する前に一度遺族に連絡し、都合のよい日時を確認した上で弔問しましょう。
⑤手紙を出す
遠方に住んでいてなかなか弔問もままならないのなら、手紙を出してお悔やみの気持ちを伝えるという方法もあります。
手紙は時候の挨拶からはじめ、故人へのお悔やみの言葉とともに遺族への労りの言葉も添えます。故人と親しい間柄でも、故人は既に亡くなっています。手紙を読むのは故人ではなく遺族です。故人に書いているつもりで砕けすぎると遺族がびっくりしてしまいます。
また、遺族は葬儀を終えたばかりで、これから相続手続きや遺品整理などをしなくてはいけません。心の整理もついていないことでしょう。遺族を思い、返信を催促することは控えましょう。もし返信が必要な内容であれば手紙ではなく電話で用件を伝え、その後に電話のお礼も添えて手紙を出すといいでしょう。
最後に
お通夜や葬儀の欠席はまず欠席する旨を至急伝え、いくつかの方法の中から故人との縁や葬儀の規模、形式などを考えて選択します。具体的な方法としては「弔電」「香典を送る」「供物・供花を送る」「弔問」「手紙を出す」などが考えられます。今後のおつき合いも含めて欠席の際の方法を考えることが重要です。
お通夜や葬儀は出席できればするに越したことはありません。しかし、どうしても都合が合わなければ遺族のことも考えて連絡と心を尽くすようにしましょう。