大人は全員知っておくべき!葬儀の際に使われる用語

葬儀や通夜、告別式。これらは親族や知人が亡くなると耳にする言葉です。葬儀に関わった経験のない人でも、これらの用語の意味は心得ているという方が多いでしょう。詳細な意味を知らなくても、大体の意味は理解しており、「通夜は〇日です」という言葉で用語の意味は通じます。しかし、葬儀で使う用語の中には、いきなり言われると何を意味しているのかわからないものもたくさんあります。

葬儀で使われる用語は「葬式(葬儀)」「通夜」「告別式」だけではありません。葬儀を進める上で知っておきたい用語をセレクトしてご紹介します。これを読めば、葬儀の流れの中でいきなり用語が飛び出しても、自分が何を手伝うべきか、これから何がはじまるのかを理解することができるはずです。

仏教式葬儀で知っておきたい用語

葬儀関連用語はかなりの数に上ります。葬儀の後のことも含めて考えれば、それこそ数十、数百の関連ワードが存在します。葬儀を仏教式で行うのか、それとも神道式やキリスト教式で行うのかによっても関連ワードががらりと変わってきます。

今回の用語ピックアップでは、日本では一番選択する人が多い仏教式の葬儀で登場する用語を取り上げます。神道式やキリスト教式の用語には触れていません。日本で生活する上では最も触れる機会が多いと思われる仏教式の葬儀用語を重点的に解説します。

また、特殊な用語ではなく、葬儀の流れの中で自然と使われる用語を選んでいます。この機会に覚えてしまいましょう。

御膳料、御車代

葬儀以外の場でも耳にする機会の多い「御膳料(おぜんりょう)」や「御車代(おくるまだい)」という言葉は、葬儀の場でも使います。主に、お坊さんに渡すお金のことです。

お坊さんに渡すお金は「お布施(おふせ)」ではないのかと疑問に思うかもしれないですね。確かに、お坊さんに葬儀でお経を読んで戒名をつけてもらうと、お布施を渡すことになります。ただ、ここで気をつけなければならないのは、お坊さんに渡すお金であれば全てお布施と呼ぶわけではないということです。

家や葬儀場に足を運んでもらったことへのお金(交通費)であれば「御車代」として渡し、葬儀でお膳をつけない場合やお坊さんが会食に出席なさらない場合は「御膳料」としてお金を包みます。お布施とは別のお金です。

施主、世話役

施主(せしゅ)という言葉が使われることがあります。施主とは葬儀を取り仕切る人のことです。

喪主の他に施主を立てることがあります。例えば、お父さんが亡くなって幼い長男が喪主を務める場合。幼ければ葬儀を取り仕切ることはできません。こういった場合には、喪主の他に実際に葬儀を取り仕切る施主を立てることがあります。例では、喪主は幼い長男で、施主は周囲の大人の誰か(お母さんなど)が立ちます。また、施主は喪主と同じ意味として使われることもあります。

世話役(せわやく)は、喪主や施主以外で葬儀を取り仕切る人のことをいいます。どうしても遺族が葬儀を取り仕切ることができない場合や、喪主(施主)が事情から葬儀を取り仕切ることができない場合があります。例えば、遺族が小さな子供一人であった場合や、遺族が病気でなかなか思うように動けない場に、世話役として葬儀に精通した人が葬儀を取り仕切ることがあります。

湯灌(湯灌の儀)、死化粧

湯灌(ゆかん)とは、遺体を綺麗に洗い流すことをいいます。簡単に説明すると、お風呂に入れるように流してあげたり、布で綺麗に体を拭いて清めてあげたりすることです。病気で亡くなった方は、長年の闘病生活を経ていることが少なくありません。闘病中はお風呂に入ることも難しいため、亡くなってからお体を綺麗に清めるのです。

死化粧(しにげしょう)とは、亡くなった人のお顔を綺麗にすることです。故人が女性であれば簡単に紅を引くなどの薄化粧をし、男性の場合は髭を剃るなどして整えます。病気で亡くなられた方の場合は、頬がこけてしまっていることがあります。口に綿を含ませるなどして、死に顔を穏やかにするなどの処置をすることもあります。

湯灌と死化粧は専門の業者や葬儀場の担当、葬儀店などが行うこともありますが、遺族が葬儀に先立って済ませることもあります。

末期の水(死に水)、枕経(枕直し、枕飾り)

「末期の水(まつごのみず)」とは、死後に故人の唇を水で濡らして差し上げることをいいます。お釈迦様が亡くなった際に信心深い者が渇きを癒すために、口許を湿らせたという逸話があります。その逸話が現代の末期の水という葬儀の習慣に繋がっていると言われます。

末期の水は死後すぐに脱脂綿を巻きつけた割りばしなどで行われます。しかし、近年は病院で亡くなる方が多いため、死の直後ではなく家や葬儀場へ搬送してから行われることがほとんどです。

枕経(まくらぎょう)とは、遺体を家や葬儀場に安置してから葬儀の前に枕元でお経を唱えてもらうことをいいます。地域、そしてお坊さんのスケジュールにより、葬儀前のどのタイミングで枕経を行うかが変わってくることがあります。

六文銭(六道銭)、別れ花

六文銭(ろくもんせん)とは、「あの世の川の渡し賃として六文銭が必要である」という逸話から、お棺に硬貨を入れる習慣です。現代に六文銭はありませんので、五円玉や十円玉といった硬貨を代わりに入れます。葬儀では昔から行われていた習慣ですが、現在は硬貨を入れて火葬することを禁止している自治体もあるため注意が必要です。

別れ花(わかればな)とは、棺を閉めて出棺する前に、参列者や遺族が故人の棺に飾る花をいいます。棺の中に一輪ずつ(必ずしも一人一輪という決まりはないですが)、お別れの気持ちを込めて入れます。花は、菊や百合がよく使われます。基本的にひまわりのような明るく元気な印象のある花や、バラのように棘のある花は使われません。

最後に

仏教式葬儀で知っておきたい用語をまとめました。どれも難しい用語ではなく、葬儀を進める中でよく耳にする言葉です。「何となく聞いたことがあるけど・・・」という言葉が、今回の葬儀用語解説により「ああ、あのことを指していたのか!」に変わったのではないでしょうか。

仏教式葬儀の用語の他にも、神道式やキリスト教式の葬儀では違った用語が使われることがあります。あまり難しい用語まで覚える必要はありません。葬儀に必要な用語だけはおさえておくようにしましょう。