斎場の種類と上手な斎場の選び方

葬儀には仏教式やキリスト教式などの種類があります。

仏教式の葬儀にはさらに宗派による区別があります。一言に葬儀といっても、信仰や宗派によって葬儀のかたち、そして葬儀の種類はさまざまであると言えます。しかも、葬儀のかたちはそれだけではありません。斎場の種類によっても葬儀のかたちは変わってくるのです。

覚えておきたい葬儀の知識として、斎場の種類についてお話します。自分や家族が望む葬儀にするためにも、斎場の種類は是非とも覚えておきたい葬儀の基礎知識の一つです。

斎場の種類とは?近年の主流は葬儀場を借りること

日本では自宅葬が主流でした。自宅葬とは、自宅の仏間などを葬儀会場にして出す葬儀のことです。
日本ではこの自宅葬が長らく主として行われていましたが、近年は「自宅にたくさんの参列者が来るのは大変」「葬儀を出しながら自宅の掃除やお客さんの対応にも心砕かなければならない」「常に手を合わせに人が尋ねてくるため、休めない。体を壊してしまう」「ご近所中に葬儀のことが知られてしまう」といった理由から、自宅葬は少なくなっています。

現在、主流となっているのは、数ある斎場の種類の中の一つ、葬儀専用の会場を借りての葬儀です。葬儀会場をレンタルし、しかも式を小規模に行うことが近年の主流であると経済産業省の調査(http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/topics/kenkyuShiryo/hokokusho/pdf/h24kanmatsusankousiryou.pdf)でも報告されています。ただ、主流が葬儀ホールなどの葬儀会場をレンタルし小規模かつ簡易な葬儀を出すことにシフトしているといっても、斎場の種類が限られるわけではありません。斎場の種類を知っておくことで、主流だからと流されることなく、自分や家族に合ったスタイルで葬儀を出すことができるはずです。

葬儀の選択肢を広げるためには、斎場の種類を知っておくことが重要です。
どんな斎場が合っているのか、そして自分や家族が希望する葬儀を出すためにはどんな斎場を選ぶといいのか、後から葬儀に対し「失敗した」と残念に思わないためにも、斎場の種類と斎場の種類におけるメリットとデメリットを把握しておきましょう。

斎場の種類は大きくわけて5つあります。

斎場の5つの種類の特徴とメリット・デメリット

斎場の5つの種類とは、「自宅」「お寺」「公営葬儀場」「民営葬儀場」「自治体の集会場」のことです。斎場の種類ごとの特徴と、メリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。

自宅

斎場の種類の中でも代表的なものが自宅です。しかし前述したように、近年は葬儀専用の会場を借りての葬儀であり、かつ小規模の葬儀が主流となっています。ただし、自宅で葬儀を出すお宅がまったく存在しないわけではありません。昔より少なくはなりましたが、依然として自宅の仏間で葬儀を出すお宅はあります。また、葬儀をホールで行い、遺体の安置は自宅の仏間にするなど、葬儀会場と自宅を一緒に使って葬儀をすることもあります。

メリットとしては、葬儀費用の中でも大きな割合を占める葬儀会場のレンタル費用が発生しないという点です。対してデメリットは、自宅の掃除や物の異動といった手間が発生することと、近所に内緒で葬儀をすることが難しいという点です。斎場の数ある種類の中でも、家族葬などにはあまり向かない会場です。

お寺

自家が檀家になっているお寺や、これから自家が檀家に入ろうというお寺での葬儀になります。
お寺も斎場の種類のうちの一つに数えられていますが、全てのお寺で葬儀を執り行うことができるわけではありません。お寺によってはスペースなどの関係で葬儀を出すことができない場合や、檀家優先という場合、また、檀家に対してのみ葬儀会場としての利用を許している場合などがあります。よく確認しておくことが必要です。

メリットは葬儀に関して詳しいお坊さんのアドバイスを得られるという点です。葬儀の日程も、直接お寺が関与するため、合わせやすいというメリットがあります。デメリットは、法事などが立て込んでいると葬儀までに日付が空くケースがあることと、お坊さんと懇意にしている葬儀会社がある場合、葬儀店を指定される可能性があるということです。

公営葬儀場・民営葬儀場

斎場の種類の中で自治体などが運営するものを公営葬儀場といいます。
民間の企業や葬儀店の葬儀場を民営葬儀場といいます。斎場の種類の中では最も一般的で、葬儀会場と言われて連想する人が多いのもこの公営や民営の葬儀会場になります。葬儀ホールや葬祭ホールといった名前のついている、葬儀専用の会場を連想するとわかりやすいはずです。

公営葬儀場は自治体が運営しているため葬儀費用が安めに設定されているというメリットがあります。また、自治体が運営しており、近くに火葬場が併設されていることもあるため、会場によっては移動が楽だというメリットもあります。ただし、自治体の住民のみ利用可能といった利用条件が定められている場合があるというデメリットがあります。競争率が激しいところもデメリットであると言えるでしょう。

民営葬儀場は民間企業や葬儀店が運営しているため、公営よりも費用は高めであるというデメリットがあります。ただし運営している企業やお店は葬儀のプロであることが多いため、プロのサポートを受けられるというメリットがあります。

最近は家族葬などの小規模タイプの葬儀も多く行われているため、あまり周囲に知られたくないという場合や家族や一部の親族だけで葬儀を執り行いたいという場合は、葬儀場が葬儀会場として向いています。

自治体の集会場

自治体内に存在しているホールなどの葬儀会場として借りて、斎場とします。斎場の種類の中では公営葬儀場と似ていますが、葬儀専門の場所ではないという点で異なっています。

公営葬儀場や民営葬儀場が数多くある現代においては、斎場の種類としてはすぐに思いつかないかもしれません。自治体の集会場を借りることができれば、もちろん葬儀に使っても差し支えありません。

メリットとしては、利用料が安く済むことや、故人がダンスや音楽などを見せるような特別な趣向を凝らした葬儀を望んでいた場合に使いやすいというものが挙げられます。デメリットとしては、必ずしも葬儀の許可が下りるわけがないことや、近隣の交通状況や集会場の利用状況を踏まえて使用が制限される可能性があるというところです。

最後に

斎場には種類があります。「自宅」「お寺」「公営葬儀場」「民営葬儀場」「自治体の集会場」の5つが斎場の種類です。近年は自宅や菩提寺で葬儀を行うより、公営・民営の葬儀場で葬儀を出すことが増えています。斎場の種類を覚えておくことは選択肢を広げることではあるのですが、斎場の種類だけでなくそれぞれの特徴と、実際に近くで使える式場を覚えておくことが必要なのではないでしょうか。

斎場の種類ごとのメリットとデメリットをよく考え、自分や家族に合った場所を選びましょう。葬儀を成功させる一因には、斎場選びも重要な要素となっているのです。