お墓は先祖代々のものという印象はありませんか?
確かにプロポーズの言葉で「同じお墓に入ってくれ」という有名な言葉がありますし、曾祖父の次は祖父母、祖父母の次は父母、そしてその次は自分と配偶者という形で橙同じ墓を守り、同じ墓に入るということは決して珍しいことではありません。
しかし近年、そんなお墓に対する考え方が変わってきています。
お墓は代々大切にしてゆくという思考から「お墓の管理が大変」「別にお墓がなくてもいいのではないか?」「永代供養を検討したい」という思考です。
昔はお墓だけでなく、誰かが亡くなると基本はきっちりお葬式をしていました。
また、葬儀だけでなく、法要やお墓の管理など、祭儀など、現代より「お墓の関することに時間を割いていた」という印象があります。
ですが現代社会は働き方も多様化し、お墓に時間を割きたくても生活の負担になってしまっています。
それを見越して自治体の中ではふるさと納税の返礼品の中にお墓掃除を盛り込むところも!
また、お墓の管理をしたくても両親と子供の間でお墓に対する情報共有が上手くいかず、何時の間にかお墓が忘れられて放置されっぱなしということも。
お墓の管理が大変。遠方に住んでいてなかなかお墓参りもできない。永代供養を検討している。お墓という形に捉われたくない。そんな方は、すっきりと「墓じまい」を検討してみてはいかがでしょう?
「墓じまい」という一つの終わりの形について説明します。
参照
https://www.furusato-tax.jp/japan/prefecture/item_detail/22306/10194
墓じまいはお墓を畳むこと!
墓じまいとは「お墓のお片付け」であり、「お墓をきちんと畳むこと」「お墓を終わらせること」をいいます。
世の中には「事業を畳む」という言葉がありますね。
この言葉がどういう意味か、皆さんはご存知のはずです。
今までこつこつと規模を広げて来た事業を自分の代で終わらせるために、余分な品物や備品を処分し、事業所の賃貸契約を解除して、管轄の役所に届け出をする。
時に商業登記だって必要かもしれません。
諸々の手続きをして、事業を終わらせることを「事業を畳む」といいます。
「墓じまい」も同じように想像してみてください。
今まで先祖代々守ってきたお墓だったけれど、どうしてもお墓の管理が難しい。そんな時に、そのお墓のある霊園やお寺ときちんとやり取りして、「お墓を畳む」ことが墓じまいです。
お墓の管理が大変、そして自分の代ではお墓はいらないと考えていても、お墓があるのは霊園やお寺の敷地ですから、不要なら不要できっちりお終いにしないと管理者にとっても困った事態になってしまいます。近年、空き家問題ならぬお墓の管理や放置が大きな問題になっています。
確かに自分が望んで作ったお墓ではないかもしれないですが、先祖が子孫も使えるようにと願って作ったわけですから、不要なら不要で有終の美を飾りましょう。
では、ここからは墓じまいの具体的な方法を解説していきます。
移すの?なくすの?まずはそこから考えよう
まず、墓じまいにはその後の流れによって二つの方法があります。
一つは「墓じまいをして他の霊園やお寺にお墓を移す」という方法です。
もう一つの方法は、「墓じまいをして永代供養にする(共同墓地などに移りお墓を持たない)」という方法です。
どちらの選択肢を取るかによって手続きの流れが変わる他、必要な手続きも増減します。
ただ、手続きの流れが変わるといっても、劇的に変わるというわけではありません。
前者の方法を考えると、移転先の霊園やお寺にはあらかじめ新しいお墓を用意しておかないと、移ろうにも移れませんよね。
また、移転先の霊園やお寺の管理者に話を通して承諾してもらわなければいけません。
自分で勝手に決めて「移ります」とはいきません。
後者であれば、同じく永代供養をしているお墓や霊園に話を通し、承諾をもらっておき、必要な手続きをしておかなければいけません。
いきなりお骨を持ってきて「お願いします」ではなく、必要な手続きはいざ墓じまいとなる前に済ませておくようにしましょう。
移転先の霊園やお寺、永代供養を行っているお寺などに既に承諾をもらい、先方で先に済ますべき手続きは終わっているという過程で墓じまいの手順を見ていきましょう。
- 現在お墓のあるお寺や霊園の管理者に墓じまいを申し出る
- 移転先でのお墓の準備が整っているか?手続きは大丈夫かをもう一度チェック
- 閉眼供養をお願いし、離檀する
- 新しいお墓に納骨、旧お墓をお終いに
墓じまいの流れは大体この1から4の順で進みます。
ただし、行政への届け出も必要になるため、もし現在檀家になっているお寺や行政への届け出が大変ということであれば、法律家に依頼して手続き関係を代理してもらうのも一つの手です。
弁護士に依頼してもできますが、手続きの代行だけであれば行政書士に依頼しても大丈夫です。
閉眼供養と離檀とは?何か儀式をするの?
新しいお墓に移すためにも「埋葬証明」「改葬許可証」などが必要になります。こちらは墓じまいを申し入れる先や、今までお世話になった霊園やお寺に尋ねる方が確実です。
こういった諸証明の他に、墓じまいをするためにはちょっとした儀式も必要になります。
お葬式は既に済んでいるので、もう一度他所に移るためにそちらのお寺でお葬式をしなさいということではありません。
特に注目していただきたいのは、手順の3です。
閉眼供養と離檀という言葉がありますね。
閉眼供養とは、お墓から亡くなったご先祖様たちの魂を抜くための儀式です。
お墓自体に魂が宿っているという考え方があるため、墓じまいには欠かせない儀式です。
離檀は何か特別な儀式というわけではなく、今までお墓を管理してくれていた管理者にお礼を申し上げ、お布施を渡すことをいいます。
自治体が管理している霊園であれば、自治体にお布施を渡すのもおかしな話かもしれません。
ですが、お寺の檀家になっていて、お寺でお墓を管理してもらっていたのであれば、法事一回あたりのお布施額と同じくらいの額を渡すのが一般的です。
閉眼供養で大体1~5万円、離檀でのお布施が10万円~くらいが相場になります。
参照
http://www.city.yokohama.lg.jp/konan/koseki/botiiten.html
最後に
お墓を使わない。他所に移したい。管理が不便ということであれば、放置をせずにきっちりお終いにすることが大切です。
放置されたままだとお寺や霊園はそのお墓の場所を使うことができませんし、放置されっぱなしで荒れ放題になります。
使わないなら使わないで「お終い」という形で閉じることも一つの責任ではないでしょうか。
現在は埋葬だけでなく葬儀も時代に合わせて色々な形が登場しています。供養とはこうしなければならないという厳格さに捉われるのではなく、時に生活スタイルに合わせて変えてゆくことも必要なのかもしれないですね。