秋はとても美しい季節です。テレビや雑誌では盛んに秋の景観の美しい場所を特集し、土日ともなれば道路では観光バスがたくさん行き来します。それこそ行楽地は観光客でいっぱいで、地域の方は「ああ、秋が来たな」と実感するのだとか。周囲の山々が紅や黄に色づく様は油絵を見ているようです。宮崎駿夫先生の映画に登場する妖怪や精霊の類が本当に住んでいそうだと、その美しくも幻想的な風景に思わず息が零れてしまいます。
奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき
嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 龍田の川の 錦なりけり
昔の人も秋特有の景色に胸を打たれたと見えます。秋を詠んだ和歌はたくさん残っています。紅葉を見つめながらふと和歌を口ずさむも一興。食べ物も美味しい季節ですし、風の冷たさも情景と合わさればかえって透明感を覚え風流なもの。秋が一番好きだという方も少なくありません。
しかし、そんな秋にも欠点があります。欠点とは、季節の特徴のせいで病気になりやすいことです。特に長引くと言われる秋風邪は、たとえ秋の好きな人でも御免こうむりたい不調の一つではないでしょうか。
季節が美しいからと、外にばかり目が行っていませんか。秋だからこそ目を向けたい自分の内側・・・体の中についてお話しします。秋風邪の対策と予防はどうしたらいいのでしょうか。行楽に出かける前に知っておきたい知識です。
秋風邪は秋のせいだけじゃない?
秋は夏の次にくる季節です。そして、冬の前の季節です。「何を当たり前のことを!」と仰るかもしれないですね。しかし、この当たり前のことこそが、秋という季節とのおつき合いや秋風邪の予防を考える上で重要なことなのです。当たり前のことこそしっかりと。基礎こそ大切、です。
夏の暑さが徐々に緩和される八月のお盆頃になると、そろそろ秋の空気が感じられるようになります。風に秋の匂いが乗ると「ああ、あの暑さもやっと終わりか」とほっとするものですが、同時に秋という季節の特徴に気をつけなければいけなくなります。具体的には、下がりはじめた温度や風の冷たさへの対策です。
夏場は暑さにより、ごっそり体力が削られる季節です。夏の暑さで参ってしまうことを「夏バテ」とも言いますね。お盆頃の夏から秋に変わる時期は、まだ夏バテによる不調が改善されていない頃です。また、夏バテになっていない人も、暑さにより体力が低下している頃です。
弱っている、未だに夏バテが続いている状態で、いきなり季節がころっと変わってしまったらどうでしょう。夏バテが回復していませんから、秋に不調を引き継ぐことになってしまいます。また、夏バテ自体は回復していても体力が戻っていない場合は、寒さによってさらに体力を奪われてしまい、秋に切り替わったあたりで急に体調不良になってしまうことが考えられます。
秋風邪は「夏の暑さから急に寒くなる」という秋の特徴。そんな秋に対する体調面での準備ができていないため、夏場の不調が尾を引いてしまう。これらが密接に絡むことによってひいてしまいます。秋風邪は長引くといいますが、これは秋が乾燥している季節で天候が変わりやすく風邪をひきやすいというだけでなく、夏のせいでじわじわと削れてしまった体力が戻りきっておらず、風邪のウィルスに勝てないということも関係しているのです。
秋風邪の予防と対策のための3つのポイント
秋風邪は秋という季節だけでなく、直前の夏という季節も関係します。だからこそなおさら厄介であり、普段は元気いっぱいな人もころっと体調を崩してしまうところに真の恐ろしさがあります。しかし、秋風邪の対策が存在しないわけではありません。いくつかポイントがありますので、予防や対策について知っておきましょう。
まず簡単に秋風邪の予防と対策を3つのポイントでおさえておきましょう。ポイントをおさえることにより、より秋風邪に対する予防法を覚えやすくなります。
- 秋は天気や温度が変わりやすい(天候や気温への対策)
- 秋は直前の夏により体力が削れてしまっている(体力を回復させるという対策)
- 秋風邪も風邪の一種である。だからこそ通常の風邪予防も必要
この3つをおさえることで「あれもしなきゃ」「予防はこれもしなきゃ」という煩雑さがなくなります。
この3つに気をつけているのに風邪をひいてしまった、ないしは風邪気味で体調がどんどん悪化しているのなら、もはや自分で予防や対策ができる範囲を超えていますので、早めに病院へ足を運び適切な処置を受けてください。「風邪は万病のもと」と言われます。それは秋風邪も同じですから、甘くみることは厳禁ですよ!
秋という季節の特徴をおさえ基本的な風邪対策も
秋は天気と気温がころころと変わる季節です。秋の空を「釣瓶落とし」に例えた言葉があります。これは秋の空を例えた言葉ではありますが、気温や天気も釣瓶落としのように、すとんと下がったり、急に上がったりします。
気温が急に上がると当然ですが汗をかきますし、下がると汗が冷えて風邪をひきやすくなります。秋は気温や天気がころころ変わるせいで服装を考えるのも難しいです。風邪をひきやすい天候条件がばっちりそろってしまっているのです。そこで、秋に出かける時は、必ず一枚羽織れるものを持ち歩きましょう。格好が難しいなら出先で着る・脱ぐという形で調節するしかありません。天気対策としては、バッグに折り畳み傘やカッパを入れておくと重宝します。
夏のせいで体力面が心許ないのも大問題です。秋は美味しい食材の季節です。また、気温が下がりますので、布団が気持ちの良い季節です。疲れたときはぐっすり眠り、旬の食材を食事に取り入れることも風邪予防には効果があります。気温が急に冷えた時は紅茶にショウガを入れるなど、冷え対策にも気をつけてください。体温と免疫力には関連性があると言われており、体温が上がるとそれだけ免疫力も上がると言われます。体は冷やさず温めるように注意しておきましょう。
秋風邪は風邪です。だからこそ、通常の風邪予防が効果的です。外から帰ったら手洗いうがいを徹底し、人の多いところに行く時はマスクをします。こうして風邪の予防に気をつけて風邪をブロックしている間に、夏場に落ちてしまった体力を睡眠や食事を整えることで回復させ、風邪に負けないよう万全の体勢を整えましょう。
最後に
秋は美しい季節ですが、反面、体を壊しやすい季節でもあります。直前の季節が夏であること、天候や気温が変わりやすいことなどがその原因として挙げられます。3つのポイントを自分でよく整理して、体調管理に努めることが大切です。
秋は美しい故に行楽に向く季節です。お出かけを楽しむことができるのは健康あってこそ。秋という季節を存分に楽しむためにも、体には十分に気をつけてくださいね。