人の死が関わるからこそ、葬儀は事前に準備を完璧にしておくことはできません。
親族の訃報を聞いた瞬間が葬儀準備のスタート地点になります。御遺体の搬送から葬儀場の予約、自治体窓口への届出など、短いスケジュールの中で効率よくこなして行かなければいけません。そう、日本の葬儀は準備も含めてとても慌ただしいものなのです。
葬儀をスムーズに進めるためには、葬儀に対する基本的な知識と普段からできる準備が必要です。必要最低限、知っておきたいことと準備しておきたいことについてお話します。準備は訃報を聞いてからスタートとはいいますが、スタート地点に立つ段階でできることもたくさんあるのです。わかりやすいようにQ&A形式で話を進めます。
目次
葬儀前に把握しておくべきことは?
葬儀は人の死によって準備がスタートします。だからこそ、何かを調べることも難しく、なかなか必要な知識を見つけられないという事態に陥りがちです。そこで、葬儀を行う前に、最低でも次のような事については把握しておくようにしましょう。知っておくことで「調べなきゃ」ではなく「確かこうだったな。よし、準備だ」と、スムーズなスタートを切ることができるようになります。
地元の葬儀店や葬儀会場を把握しておく
葬儀は人の死がスタート地点ながら、事前にもできることがあります。それは、主に
「葬儀に対する情報を集めておくこと」
「葬儀に対しての知識を調べておくこと」
です。
人間は何時亡くなるかわかりません。だからこそ、葬儀店との契約や物の発注は、葬儀を出すことが決まってからしかできません。事前にできることは具体的な葬儀場の予約や物資の準備ではなく、いざという時にすぐ準備のスタートを切ることができるようにしておくことです。
想像してみてください。
親族が亡くなり、急に連絡をもらって葬儀の準備を手伝うことになったとします。あるいは、家族が亡くなって喪主を務めることになったというシチュエーションでもいいです。とても差し迫った、急ぎで準備をしなければならない状況です。それなのに、葬儀店がどこにあるのかわかりません。葬儀店が何軒あり、どんな特徴があるかもわかりません。葬儀会場もどこだかわかりません。葬儀会場や葬儀屋の連絡先すら知りません。これでは大変です。タウンページを繰ったり、スマートフォンで検索したりするところからスタートしなければいけません。
葬儀を出す予定があるかどうかに関わらず、地域の葬儀店はチェックしておきましょう。車で道を通り過ぎる時や、買い物をするために道を歩く時など、ふっと見かけた葬儀店を覚えておくといいでしょう。全ての葬儀店や葬儀場を暗記しておいてくださいというわけではありません。「大体このあたりに葬儀屋があったな」「連絡先を覚えておこう」くらいの感覚で問題ありません。
下見と見積もりができればなおよし
もし可能であれば、葬儀屋や葬儀会場の場所を何となく覚えておくだけでなく、実際に足を運んで話を聞いてみてください。その際は最近の葬儀事情や地域の葬儀についての風習、葬儀コースや費用、葬儀店がやり取りしているお寺があるのか等の情報を得るようにしておくと、葬儀の時の良い事前知識となってくれます。
最近では、葬儀場を事前に見学し、自分や家族が望む葬儀形態にした場合の大まかな見積もりなどを出してくれるところが増えています。もちろん実際の葬儀になると金額は上下しますが、葬儀費用を準備する上での目安になるため、とても助かります。
最寄りの自治体窓口
葬儀店だけでなく、自治体の窓口も知っておきたいところです。葬儀の際に手続きをする窓口は自治体の中でも夜間対応可能となっていることが多いです。市町村合併で幾つもの庁舎がある自治体は、どの庁舎が窓口になっているのか知っておくとスムーズです。また、地域のセンターなどに手続きできる窓口を開設している自治体は、その窓口でも手続きできるかを確認しておきましょう。
こうした知識や情報は葬儀を行う前に把握しておきたいものです。
必要な連作先がどこにあるか
これも葬儀を行う前に把握しておきたいポイントです。
葬儀場の連絡先ではなく、家族が友人や会社の同僚の葬儀参列者になり得る人の連絡先をどこにまとめているのかを知っておくと、「誰を呼べばいいの?」「どこに連絡をすればいいの?」と戸惑うことがなくなります。
なお、「スマートフォンにまとめてある」と言う場合は、スマートフォンのロックが問題になります。ロック解除の暗証番号なども、家族との関係や状況によっては確認しておくといいでしょう。
葬儀前に準備しておく物はあるの?
葬儀に前に情報や知識を把握しておくと共に、物品の準備も進めておきましょう。「あれ、物品は葬儀の準備がスタートしてからでは?」と思うかもしれません。確かに、そのように前述しました。
葬儀の祭壇や花輪、遺影などは葬儀を出すと決定してからでなければ準備が難しいものです。いずれ葬儀を出すだろうと、何年も前から供花を発注する人はいませんね。基本的に葬儀の物品の準備はいざ葬儀となってからですが、中には葬儀が何時行われるかに関わらず準備できるものがあるのです。
葬儀を出すか出さないかわからない状態で準備できるもの、それは・・・線香やロウソク、チャッカマンなどです。
お墓参りに使うような線香やロウソクは、多くのご家庭で準備があることでしょう。また、マッチやチャッカマンなども用意しているご家庭は決して少なくありません。こうした基本的な物品をある程度そろえておく、いざ葬儀という時に助かります。
特別な物品の準備は必要ありません。何時かの葬儀のために高額な香炉などをあらかじめ購入する必要はありません。ただ、常日頃のお墓参りの中で使うロウソクや線香といった基本的な物は家に用意しておくといいでしょう。
もちろん葬儀場には予備があることが多いです。ロウソクや線香はコンビニでも取り扱っていることも多いですから、必要になったら買いにいけばいいと思うかもしれません。しかし、葬儀では「急に必要」「急に足りなくなった」「お店が開いていなかった、びっくり」「誰かのお宅に予備ありませんか」というトラブルが起きがちです。こんな時に、基本的な物品が家にあると非常に助かります。
最後に
葬儀を行う前に把握しておきたいのは、地域の葬儀店の場所や連絡先、自治体の窓口といった情報です。葬儀に関する知識を暗記する必要はありませんが、簡単に覚えておくようにすると、いざ葬儀という時に焦らずに済みます。加えて、お墓参りなどで使う物品は葬儀でもいざという時に使えますので、家にそろえておくといいでしょう。
葬儀は誰かが亡くなってからが準備のスタートです。忙しない中でばたばたと準備をすることになります。ポイントは「あらかじめ準備する」のではなく、準備のスタートを切りやすくしておくことなのです。