葬儀に使う道具には様々な種類があります。中でも葬儀に欠かせないものとして生花が挙げられます。
葬儀と言えば生花というくらい、お花は葬儀に付きものです。実際に、葬儀に呼ばれて生花(供花)を用立てたという方や、葬儀に使う生花の量に頭を悩ませたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。それだけ葬儀に生花が欠かせないものだからこそ、葬儀においては生花の扱いについて考えさせられるのではないでしょうか。
今回はそんな葬儀に欠かすことのできない生花について、送る側に必要な知識を中心に解説します。お通夜やお葬式、葬儀の際に供花を送る場合、どんなお花を送ればいいのでしょうか。葬儀に生花を送るとして、どんなことに気をつければいいのでしょうか。
目次
葬儀に生花を送る際に気をつけることは?
葬儀に生花を送ることは、日本の葬儀において一般的なことです。仏式の葬儀、キリスト教式、神道式に関わらず葬儀では生花が使われます。生花は信仰にとらわれない「全てに通用する物」という点で失敗がないのです。
仏教には宗派によって葬儀に使う道具のかたちが変わることがあります。
しかし、全ての宗派において葬儀では生花が使われるという共通点があります。宗派がわからなくても葬儀に生花を送れば失敗することが少ないのです。だからこそ葬儀に生花を送ることは、非常に一般的であると言えます。葬儀に何を送るか悩んだら、有力候補として生花が挙がることでしょう。
供花を送ることは確かに失敗のない方法ではあるのですが、葬儀という儀式の性質を考えて生花を送らなければ失敗してしまいます。失敗した上に、今後の遺族との関係に亀裂すら生じてしまうことでしょう。葬儀に生花を送る場合は「手配」「花の種類」「確認」の三点に気をつける必要があります。
葬儀の生花は「手配」「花の種類」「確認」に要注意
葬儀に生花を送るためには、手配に気をつけることが重要です。
いざ葬儀に生花を送ろうと考えても、大急ぎで手配しなければ「葬儀に生花が間に合いませんでした」という事態に発展します。葬儀は急なことですので、知らせを受けてすぐに準備を取りかかり、配送の手配をしてしまいましょう。
通常の配送なら十分に間に合うという場合でも、年末年始が葬儀と重なると生花の配送が大幅に遅れることがあります。また、葬儀場の近くの葬儀店に供花の手配をお願いする場合も、他にも同じ葬儀に生花を手配する人がたくさんいたために、準備に時間がかかることも考えられます。生花は無限ではないため、近隣で葬儀が相次げば入荷が追いつかないことも、実際にあり得ることです。
葬儀に生花を送る場合は、「葬儀に間に合わなければ意味がない」「配送状況が混雑していることがある。特に年末年始などの込み合う時期は要注意」「近隣で葬儀が重なっている時や、同じ葬儀にたくさんの人が生花を送ろうと考えた場合は花が足りなくなる恐れがある」などの事項に気をつけておかなければ、ミスに繋がります。対策としては、連絡を受けたらすぐに手配を済ませること、つまり至急動くことが挙げられます。葬儀の準備もスピード勝負というところがありますが、葬儀に生花を送る側もスピード勝負という側面があるのです。
また、葬儀に生花を送る時にもう一点注意しておきたいのは「相手方に確認しておく」ということです。
葬儀に生花を送ると、基本的に先方または葬儀会場の担当が適切なところに飾ってくれることになります。ただし、全ての葬儀において生花を飾るスペースがあるとは限りません。自宅葬儀の場合、たくさんの生花を送ってはスペースに困ります。周囲のお宅に葬儀を出していることを内緒にしていることもあるため、目立つ生花は避けた方がいい場合もあります。
葬儀に生花を送る場合は手配を迅速に行うことも重要ですが、まずは葬儀に生花を送っても大丈夫なのかをしっかりと確認しておきましょう。葬儀を出す式場に問い合わせてもいいですし、喪主と親しいなら直接尋ねても問題ありません。
葬儀の生花の種類は白い花や菊を中心に
さらに気をつけたいのが、葬儀に送る生花の種類です。葬儀に生花を送る場合、自分の好きな花を送っていいわけではありません。想像してみてください。葬儀に飾られる向日葵や真っ赤なバラ・・・違和感がありますね。葬儀に送る生花にはTPOを考えた種類を送ることが重要です。最終的に送った生花は葬儀の場に飾られますから、葬儀に相応しい供花を送りましょう。
葬儀の際に生花として送るに相応しい花は次のような種類となります。仏教式なのかキリスト教式なのか、それとも神道式なのかによって変わってきます。
仏教式葬儀の生花
葬儀の生花といえば菊という印象がありませんか?菊は代表的な葬儀の花です。
仏教式の場合は他に百合やカーネーションなども用います。色は白が基本ですが、落ち着いた色合いであれば必ずしも白である必要はありません。
ただし、個人的に落ち着いていると感じるからと、ピンク色のカーネーションや赤系の百合などは避ける必要があります。葬儀の基本色は「白」と「黒」です。赤や桃色、ブラウン系の色合いは祝事を連想させてしまいます。
造花やプリザーブドフラワーなども生花同様に用いられます。花籠にするのか花輪にするのかということと合わせて、葬儀の規模や状況に合わせて考えると良いでしょう。
神道式葬儀の生花
基本的に仏教式葬儀の生花と同様です。ただし色は白を用いることが多いです。仏教式では白を基本として落ち着いた色合いの花を用いましたが、神道式はより白い花と考えた方が失敗しません。神道の葬儀を想像してみると、白一色という印象がないでしょうか。白菊や白百合を中心に「白い」生花を送ると、神道式葬儀では失敗が少ないと言えます。
日本では圧倒的に仏教式葬儀が多いため、わからないことがあれば花屋や葬儀店にアドバイスを求め失敗しないようにしたいものです。
キリスト教式葬儀の生花
仏教式や神道式と同様に白い花が基本となります。ただし、淡い桃色や黄色などの柔らかい色合いを用いることも多いのがキリスト教式葬儀の特徴です。花は小菊やスプレー菊、百合、カーネーションなどを用います。カーネーションや百合の淡い桃色は、仏教式においては祝い事を連想させるためNGでしたが、キリスト教式ではNGとされず、花籠にもよく使われています。
キリスト教式の生花は、アレンジに気を配ることが多いところも特徴です。ハートやクロスなど、キリスト教式に合ったアレンジがあります。キリスト教式の葬儀に送るということを花屋や葬儀店に話し、アレンジしてもらうといいでしょう。
最後に
葬儀に生花を送ることは他道具を送る事よりも失敗が少ないため、よく行われています。生花の種類も葬儀に相応しいものはある程度限られているため、手配も難しくありません。近年はインターネット上でも手配ができますし、近くのお店なら後払いですぐに手配に取りかかってくれるところも少なくありません。ただし、花の種類が限られているといっても、どんな花を組み合わせるのか、どれくらいのボリュームにしたらいいのかは悩みどころです。
わからないことがあれば、葬儀の生花手配に慣れた葬儀店や花屋に葬儀の規模や宗派を伝えて教えてもらいながら選ぶと失敗がありません。
葬儀に生花を送る時のポイントは「迅速な手配」「花の種類」「先方への確認」、そして「わからないことは専門家に訊く」ことなのです。