突然の葬儀、何からすべきだろうと戸惑ってしまいますね。自分が喪主や遺族として葬儀を出す側であれば、なおさら何から手を着けていいのか迷ってしまうはずです。
もし自分が喪主ではなく、喪主を補佐する立場であるならどのように立ち回ればいいのでしょうか。遺族ならびに親族として葬儀の手伝いをしなければならない場合、一体どんなふうに手伝えばいいのでしょう。葬儀場にでも勤めていない限り、「○○を手伝って欲しい」と言われてすぐに完璧に立ち回るのは難しいはずです。
今回は遺族ならびに親族や友人として「葬儀を手伝って欲しい」と言われ「受付」を任せられた時にどんなことをすればいいのかについてお話しします。受付を任せられたらどんなことをすべきなのでしょうか。突然葬儀の手伝いを依頼されても困らないよう、簡単に心得ておきましょう。
目次
葬儀の「受付」の心得とは?
一般的に葬儀に関わる機会で最も多いのは「参列者」として葬儀に参加することではないかと思います。ご近所の方や同窓生、会社の同僚、友人などが亡くなった場合、多くの方は参列者というかたちで葬儀に足を運ぶことになるのではないでしょうか。
しかし自分が遺族であった場合や比較的近しい親族であった場合は、喪主という立場でなくても、葬儀の「主催側の立場」あるいは「葬儀を手伝う立場」として葬儀に参加することがあります。
参列者として葬儀に参加する機会より自分が主催側や手伝い側で葬儀に関わることは一般的に少ないと言えるでしょう。だからこそ主催側の手伝いをして欲しいと言われると、多くの方が「どこまでどんなことをすればいいの?」と悩みます。
特に受付は参列者が葬儀場にやって来て真っ先に対面する係ですから「どんな挨拶で迎えるの?」「香典はどのように処理したらいいの?」「挨拶して受付するだけでいいの?」と首を傾げることでしょう。
まずは、受付がどんなポジションか明確にする必要があります。葬儀の受付とは「喪主に代わって最初に参列者を迎える係」です。ポイントは「喪主に代わって」というところです。
受付を頼まれた経緯や故人との血縁のあるなしに関わらず、葬儀の受付は「喪主側(主催側)」に立つ係です。だからこそ参列者に対しては「自分もお客さんです」「あくまで受付を任されている部外者です」「自分も本当は参列者だったのですが頼まれただけです」という態度ではなく、主催側の一人として接する必要があります。
つまり故人や喪主との縁に関わらず「本日は参列していただきありがとうございました」と言われる側ではなく言う側になるということです。
受付は故人や喪主との縁に関係なく頼まれて引き受けたからには「喪主側(主催側)の人間として振る舞うこと」を心掛けましょう。これはとても大切なことです。
葬儀の受付と4つの流れとは?
葬儀の受付にはいくつか担当する仕事があります。主催側に手伝いを頼まれて「受付係」になったら、次のような仕事を担当することになります。基礎知識として、受付が担当する仕事を挙げ、それぞれを簡単に解説していきます。
①受付が担当すべき仕事を式場の担当や喪主と打ち合わせする
葬儀の規模により受付が担当する仕事が変わってくることがあります。小規模の葬儀であれば参列者に挨拶をして案内し、場合によってはお茶を振る舞うなどの仕事も担当することがあります。大規模な葬儀であれば式場の担当も手伝ってくれる場合や、受付も相応の人数である場合が多いため、同じ受付でも記帳を促す係や葬儀場への案内係など仕事を分担することが考えられます。「どこまで自分がすればいいの?」という点を打ち合わせの中で確認しておきましょう。
なお、葬儀場へは打ち合わせの時間なども考えて一時間くらい前には到着し、喪主に挨拶し故人へ手を合わせておくことが望ましいと言えます。
②参列者がやってくる時間になったら受付(記帳所)に待機して出迎える
参列者をお迎えし香典を受け取る・香典帳へ記帳を促す・返礼品(供養品)を渡す・式場への案内・列の整理などを行います。
出迎えの際は「ご弔問(ご会葬)ありがとうございます」と挨拶をします。
香典を渡されたら「お預かりいたします」と受け取り、香典帳への記帳を促してください。香典帳は遺族が後日、お礼状などを発送する上で参考にする大切なものです。参列者には必ず書いていただくようにしましょう。
香典の返礼品は記帳の時に邪魔になることも考えて、記帳が済んだら渡すというかたちで差し支えありません。
記帳が済んだことを確認したら、葬儀場へと誘導します。記帳所の列が葬儀場の入り口を塞いでいないか、他の参列者の通行の邪魔になっていないかなども確認し、適宜誘導も行います。
③届いた物品の整理や報告
受付をしていると、式場に弔電や供花、供物が届くことがあります。
配送業者に喪主や遺族に代わってお礼を伝えると共に、葬儀場の担当者へすぐに伝えましょう。伝え忘れると、葬儀の中で弔電が読まれなかったり、供物・供花が飾られなかったりなどの事態になります。せっかく故人のために届いたのですから報告を忘れないように注意しましょう。
供物や供花、弔電をくださった方のこともメモなどに控え、後でそっと喪主に渡してもいいでしょう。葬儀中は慌ただしいため、「誰からどんなものが届いたか」を遺族側が把握していないことがあります。後に遺族が供物や供花のお礼をする時に役立ちますし、遺族が誰かに葬儀に出席する時に同じような品を送ることができるという意味でも役に立ちます。
④香典の管理・香典を喪主へ渡す
香典はまとめて管理し、適切なタイミングで喪主に渡すことになります。適切なタイミングは葬儀の規模や進行によって変わってくるので判断が難しいところです。
主なタイミングとしては「出棺」「食事の前後」「会場からの移動前」などです。落ち着いたタイミングで渡します。喪主が参列者と話している時などはお金の話をするのも難しいでしょうから、喪主が参列者と離れたタイミングで渡すといいでしょう。
打ち合わせの段階で「香典の管理はどこまで必要か(中身の確認や金額計算など)」や「どのタイミングで香典を渡すか」を決めておくとスムーズに進みます。
受付はどのタイミングでお焼香に立つの?
受付をしていて困るのは、「自分も故人に手を合わせたいのに受付を無人にできないのでお焼香に行くことも難しい」「お手洗いに行くタイミングも難しい」という点です。この点に関しては、受付を無人にしないように気をつけてローテーションを考えるしかありません。参列者が途切れたタイミングなどでそっと抜けるか、受付担当で順番にお焼香に立つかといったことも決めておきましょう。
困るのは受付が一人の場合です。受付を自分一人にお願いしたい旨の話があったら、打ち合わせの段階でお焼香やお手洗いに立つ時に誰かに数分程度だけ交代してもらえないかと相談しておくことが重要です。
葬儀場の担当も手伝ってくれることが多いため、一人で受け付け担当をしていても数分程度ならあらかじめ打ち合わせておけば抜けることができるはずです。ただしその際は香典の管理も含め、きちんと申し送りしておかなければ後で金銭トラブルになる可能性があります。
葬儀は慌ただしいものです。慌ただしいからこそミスによってさらに混乱を招かないように、ちょっとしたことでも喪主や遺族、他の係や葬儀場の担当に伝えておくことが重要なのです。
最後に
葬儀の手伝いを頼まれ受付を担当することになったら、仕事内容や注意点を頭に入れておく必要があります。葬儀の受付の基本知識となりますので、自分がどこまでの仕事をするかに関わらず頭に入れておきましょう。
葬儀の規模や参列者数によって受付担当がどこまでの仕事をこなすのか、何人で受付にあたるのかが変わってきます。ミスをなくすためにも「自分が喪主側に立つ者である」「ちょっとしたことでも報告をきちんと」「忘れそうなことや遺族に伝えたいことはメモしておく」「香典はお金であるため後にトラブルになりやすい。管理は厳重に」「打ち合わせで疑問点は話し合っておく」ことを意識してみてください。意識をするだけで、忙しくてパニックになるという事態を防止することにも繋がります。
葬儀は故人の人生の幕引きともいえる大切な儀式です。そんな儀式のお手伝いをするのですから、気を引き締め、故人が安心して旅立てるような葬儀にしたいものです。