一昔前は、葬儀といえば大きな会場を借りて出すのが一般的でした。
あるいは自宅の座敷で葬儀を出すということもよく行われました。
葬儀というものは格式のある儀式で、多額の費用とそれなりの日数が必要になるものでした。しかし時代と共に人々の生活が変わり、現代において葬儀の形は非常に多様化しています。必ずしも大会場を借りる必要もありませんし、見積もりと睨めっこしながら上手く資金計画を立てれば100万円以下でそれなりの規模の葬儀を出すことも可能です。家族葬などという形でコースを選べる葬儀会社も増えており、人生の幕引きにおける大事な儀式である葬儀も、生活様式や価値観に合わせて多様化しているのが現代社会です。
しかし、多様化しているのは葬儀だけではありません。人の生き死に、そして葬儀に関わるある重要なものも多様化しているのです。それは・・・墓石です。墓石も時代に合わせて多様化しているのです。
今回は墓石の種類とその選び方についてお話ししたいと思います。墓石を選ぶ上での豆知識にしていただければと思います。
お墓の種類と選ぶときのポイントは「色」?
墓石にも色々な種類があります。
まず、形。
最近はオーダーメイド様式で、墓石を自分の好きな形にすることも可能です。生前、音楽が好きだった故人のために墓石を音符型にしたり、平和への祈りを込めてハート型にしたりと、墓石はその人の好みや価値観によって色々な種類を造ることができるようになりました。確かに金額的な限界や、造形という意味の物理的な限界もあります。霊園の一区画に入りきらないという大きさ面での限界もあることでしょう。しかしそれらにさえ気をつければ、墓石の形という点での種類は無限大に近いといえます。これも墓石の種類に違いありません。
しかし、今回取り上げる種類は、造形の前時点での種類のことです。
つまり「石」です。
お墓の形という造形での種類に至る以前の石について着目し、簡単に種類と石を選ぶ上での注意点について考えてみましょう。
最初に考えていただきたいのは、皆さんにとってお墓の石とはどんな印象があるかという点です。多くの人はお墓の石といわれて黒い石を想像するのではないでしょうか。確かに墓地に足を運ぶと、黒い長方形の墓石がとても多いという印象があるはずです。中には「お墓は黒い石や灰色で造るのではないの?」と思っている人もいるかもしれないですね。
しかし、最近の墓石は黒一色や灰色一色というわけではありません。海外からも石を輸入できるようになり、墓石は昔より随分と安価になっています。お墓というと安くても200万円~と言われていましたが、現在は石の種類や大きさによっては数十万くらいから購入可能なお墓もあります。やはりお墓も多様化しているという印象です。
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お墓に使える色石の種類は大きく4種類
さて、ここからは具体的にお墓の種類についてお話ししましょう。
お墓の石は色の系統で大きく四つにわけることができます。
- 白系
- グレー系
- 黒系
- 赤系
主にお墓として選択される色の種類はこの四種類です。
最も一般的な墓石が黒で、最も目にする機会が少ないのは赤系ではないかと思います。赤と言っても紅白幕のような真っ赤ではなく、赤茶系の色合いをした石になります。また、グレーといってもマーブル状になっていたり、本当に灰色一色だったりするため、主に四種類の色といっても、灰色や赤にはさらに細かな色分けがあります。
細かな色分けの上にさらに石それぞれによって微妙に色の濃淡があります。赤系といっても一つの石ではなく、石材屋によって取り扱う石の種類が変わってきます。墓石は一つとして同じものが存在しないオンリーワンであるといえるでしょう。
墓石を選ぶ場合は大体この四種類の色が出回っているという基本的な知識を持っておき、後は墓石屋さんに石の色の希望を伝え、その色に該当する取り扱いの石にはどんなものがあるのか、質にはどのような違いがあるのかを確認しながら選択するのがいいでしょう。多くの墓石屋さんでは石のサンプルを用意していますので、実際に触ってよく考えてみてください。
ただし「墓石」という性質上、色以外にも気にしていただきたいポイントがいくつかあります。
お墓の種類と選ぶときの色以外のポイントとは
墓石選びで気にしていただきたいポイントは次の二つです。
- 石の耐久度
- 金額
どちらも基本的なことですがとても大切なことです。
お墓は長い年月ずっとお世話を続けるものです。色だけで耐久度を考えず選んでしまうと、雨風にさらされたり、台風や地震で倒れた際に欠けが発生したりといった悲しい出来事に見舞われることもあります。長く守るものだからこそ色も重要です。しかし、耐久も重要ではないでしょうか。
お墓の耐久度は石そのものの性質に左右されます。石には吸水率という耐久に影響を与える率があります。水を吸いやすい石ほど耐久度は低めであるといわれます。同じ石でも産地によって石の性質が微妙に変わってくることもあるので、墓石屋さんに耐久と産地ごとの特徴について確認しておきましょう。
もう一つ重要なのが金額です。墓石は同じサイズでも石の種類、希少価値によって金額が変わってきます。同じ種類の石でも産地や色の濃淡によっても金額が変わってきます。近年、日本産の墓石は貴重です。その中でも庵治石は希少性も高いため、300万円以上の価格を見なければいけません。サイズや庵治石の質によってはもっと高額になることでしょう。
墓石は高価な石だからいいというわけではありません。石も、同じサイズでより高価な方が性質面でもよい墓石というわけでもありません。比較的安価でも耐久に優れた石もあります。自分たちが「色」「金額」「耐久」「形」「産地」「希少性」のどれをどのくらい重視するかよく考えて決めるのがいいでしょう。
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最後に
墓石には形的な面での種類があります。しかし近年は墓石を自分の好きな形にオーダーメイドすることもできるため、形の面での種類は数え切れないくらいあります。石の色で大別する種類は主に「赤・黒・灰・白」の四色です。ただ、この四色もどれ一つとして同じ濃淡・文様の石はありませんから、一つ一つまったく違っているとさえいえます。
お墓は一族で守ってゆくもの。世代を越えて受け継がれるものです。色で決めることも大切ですが、金額や耐久などを総合的に考え、家族でよく話し合って決めることが大切です。
一族の歴史を象徴するような石が墓石です。悩むかもしれませんが、一族が眠る場所だからこそ慎重に考えて決めたいものです。