喪中はがきを出す対象と喪中はがきに関する注意点

家族が亡くなり葬儀を終えてひと段落と思いきや、その後にはすぐに四十九日などの別の法要が待ち構えていることも少なくありません。しかし待ち構えているのは法要だけでなく、葬儀に足を運んでくれた方へのお礼や、訃報を伝えていない知人への連絡、相続の手続きなどさまざまです。

一人の人間の生き死には本当に大変なことだと実感し、慌ただしく過ごした経験のある方も多いのではないでしょうか。葬儀に自分の家を使えば、葬儀道具の返却や掃除もしなければいけません。

家族が亡くなることは悲しく、それだけで家族の精神的な負担は大きいと察するに余りあります。しかし日本の葬儀は葬式だけで終わるのではなく、「次は何をすればいいの?」「後は、どんな手続が必要だっけ?」と頭を悩ませ、時間をかけて法要や後片付けを終わらせてはじめて終了となります。

そろそろ年末。葬儀の後の大仕事の一つである「喪中はがき」について解説します。

季節は夏から秋に変わり、過ごしやすい季節になってきました。夏から秋に変わり始める頃こそ、喪中はがきの準備をはじめなければならない頃合いです。

喪中はがきは「誰に出せばいいのか」「どのように準備すればいいのか」について、注意点を簡単にお話します。

喪中はがきのシーズンは秋?喪中はがきの意味とは

喪中はがきのシーズンは秋頃になります。

「喪中はがきにシーズンがあるの?」「年賀はがきのように年末がシーズンではないの?」「こんなに早くから?」と疑問を覚えるかもしれません。しかし、喪中はがきのシーズンは夏から秋に移り変わる頃、まさに九月半ば頃からなのです。

九月半ば頃といえば八月の大きな行事であるお盆がひと段落し、暑さも鳴りを潜めた頃です。やっとゆっくり休むことができると思いきや、初盆(初棚)の次にはこの喪中はがきの準備がやって来るのです。

皆さんの周囲のスーパーや葬儀店、印刷店では、九月半ば頃から喪中はがきのチラシが出ているお店も珍しくないことでしょう。

買い物ついでにチラシコーナーを見ると「こんなに早くから喪中はがきのチラシが出るものなの?」と首を傾げる方もいらっしゃるようです。しかし、よく考えてみてください。喪中はがきは季節に関係のあるものです。

皆さんは喪中はがきを手にした経験はないでしょうか。今まで喪中はがきが自宅に送られてきた経験のある方は「そういえば、年賀状より早く送られてきたような?」と何となく覚えているのではないでしょうか。そう、喪中はがきは、基本的に「年賀状より早く送るもの」なのです。

喪中はがきには大きく三つの意味があります。この意味こそが「誰に喪中はがきを送ればいいの?」という疑問の答えに繋がりますので、よく確認してみてください。

  1. 年始のお祝いを控えるための連絡
  2. 葬儀や法要に足を運んでくれたことへのお礼
  3. 家族が亡くなったことを伝えるための連絡

喪中はがきは大きくこの三つの意味で使われます。宛先が葬儀に足を運んでくれた方か、まだ訃報を伝えていないかによって意味が変わってくるので注意してください。

喪中はがきを出す対象は「年賀状のやり取りをしている人」

例えば「①年始のお祝いを控えるための連絡」として喪中はがきを使うとします。

多くの人が年賀はがきを準備しはじめるのはもう少し後かもしれません。しかし、送り先が多い方や準備の早い方は、秋になると早々に年賀はがきの準備をはじめる場合があります。

こちらが年始の挨拶を控える旨を伝えるだけならいいのですが、相手も年賀はがきの準備をする以上、「今年はご挨拶できませんので年賀はがきの準備は控えていただくよう」あらかじめ伝えておくのが親切と言えるのではないでしょうか。

九月の半ば頃に喪中はがきを準備してなるべく早めに投函してしまえば、相手がこちらの分の年賀はがきを準備せずに済むことになります。つまり喪中はがきには「年始の挨拶を控えさせていただきます」という意味と「だからこそ年賀はがきを控えていただければと思います。準備は不要ですよ」と相手に前もって伝えるという意味があります。

早めに教えてもらえば、相手も「今年は出さずに電話で挨拶とお悔やみを伝えよう」「年賀はがきではなく寒中見舞いに切り替えよう」と適切な準備ができるわけです。

早めに教えてもらわないと、人によっては年賀はがきを投函してしまいかねません。この意味で喪中はがきを使う場合は、相手が準備や投函を終えてしまう前に出すことに意味がありますので要注意です。

この意味を考えれば、喪中はがきを出す対象の一つが見えてくるのではないでしょうか。すなわち「年賀状を毎年やり取りしている人」が、喪中はがきを出す対象の一つです。加えて取引先企業などにも「今年は挨拶を控えさせていただきます。年賀はがきの準備は不要です」という意味で出しておくのがいいでしょう。

「お礼を伝えたい人」や「訃報を伝えたい人」も対象

「②葬儀や法要に足を運んでくれたことへのお礼」「③家族が亡くなったことを伝えるための連絡」としても喪中はがきは使われます。

葬儀や法要に足を運んでくれたことへのお礼としては葬儀や四十九日などに足を運んでくれた方へ、香典帳などの記載を見て改めてお礼を申し上げる意味で使います。

葬儀に別途お礼状(はがきなど)を送ることもあるのですが、年末が近い場合、別途お礼状は出さず喪中はがきでお礼を述べることもあります。

家族が亡くなったことを伝えるための連絡としては葬儀や法要に参列していない方へ喪中はがきを出すことにより訃報を伝える意味で使われます。親戚ではあるが普段ほとんどやりとりしていないという家や亡くなった人の幼馴染や同窓生などに訃報を伝えるためにも喪中はがきを使います。

以上の意味から、喪中はがきを出す対象は前述した「年賀はがきを普段やり取りしている人」「事業を営んでいる場合は取引先の企業や営業担当」に加えて「訃報を伝えておきたい葬儀や法要に参列していない人」「葬儀や法要に参列してくれた人」が喪中はがきの対象になります。

ただ、これら全ての方に必ず出さなければいけないというわけではありません。基本はこれら方に出すのですが、関係や葬儀の規模を考えてもっと人数を絞っても差し支えありません。もちろん対象外の縁故者に喪中はがきを出してはいけないというわけでもありません。

最後に

喪中はがきは「挨拶を控えます」「年賀状の準備は不要です」「葬儀に参列してくださりありがとうございます」「家族が亡くなりました」などの意味で使います。葬儀に参列したか、していないか、どれくらい付き合いがあるかによって意味が多少異なります。意味を考えて喪中はがきを出す対象を絞り込みましょう。

基本は、

  • 年賀はがきを普段やり取りしている人
  • 事業を営んでいる場合は取引先の企業や営業担当
  • 訃報を伝えておきたい葬儀や法要に参列していない人
  • 葬儀や法要に参列してくれた人

が喪中はがきを出す対象になります。

ただしこれ以外の故人と縁のあった方や伝えておきたい方に喪中はがきを出してもまったく問題ありません。「誰に伝えておいたらいいのか」を中心に考えることがポイントです。