お彼岸・お盆の知識とお墓参りでやってはいけないこと

お彼岸とお盆といえばお墓参りです。皆さんも、お彼岸やお盆に合わせてお休みを取り、家族と一緒にお墓参りをするという方が多いのではないでしょうか。

具体的にお彼岸とお盆になぜお墓参りをすることが通例になっているかを説明することはできますか?お墓参りには行くけれど、お盆やお彼岸の意味を特に気にも留めたことがないという方もいるかもしれないですね。

今回はお墓参りでしてはいけないNG集とセットで、お彼岸とお盆の知識をお話します。お墓参りの際は道すがらお子さんやお孫さんに豆知識として披露したら「わ、物知りだね!」と驚かれるかも。それでは、要点をおさえてわかりやすく解説して参りましょう。

お彼岸とお盆の知識!お盆にはどんな意味があるの?

お盆とお彼岸はお墓参りをする。これは一般的な認識ですね。しかし、この「お墓参りをすること」に深い意味があることをご存知でしょうか。特に意味がなければこの時期にお墓参りをするという風習ができ上がるはずがありません。昔からお盆やお彼岸にお墓参りをすることに意味があるからこそ、日本では「お盆やお彼岸=お墓参りをする」という思考が根付いたと言えます。

お盆は8月ないしは7月に行われます。新しい暦に従う地域では7月がお盆になり、旧暦に従う地域では8月に行われます。よく「自分の生まれた地域と嫁ぎ先の地域ではお盆が一カ月ずれていた!」と驚く方の話を耳にします。どちらかが間違っているというわけではなく、どちらも正解なのです。

インドから日本へ伝わった

お盆は仏教とともにインドから日本に伝わりました。とは言え、インドと日本の習慣は異なっています。

インドでも日本と同じようなお墓参りが行われているわけではありません。お墓参りは日本の仏教観に合わせて今のかたちになったもので、仏教を信仰している人の多い国で当然のように行われているものではないのです。しかし、日本のお墓参りは日本の文化や考え方の影響を受けたとはいえ、お盆のお墓参りの根底に流れるものは、他国の影響を多分に受けていると言われます。

盂蘭盆会

お盆はもともと「盂蘭盆会(うらぼんえ)」のことです。これを略して「お盆」と呼ぶようになったと言われます。盂蘭盆会では親孝行や先祖孝行の大切さや、親や先祖を大切にする人は極楽浄土に行くことができると説かれています。そこから、先祖や親の象徴であるお墓へのお参りに繋がったのではないかという考え方があります。

日本はもともと家や血縁をとても大切にする国でした。お墓参りには日本人が大切にしていた先祖や家への考え方と仏教的な考え方が集約されているのです。

お盆の時期はあの世の扉(あの世の窯のふたとも言います)が開き、この世とあの世の境界線が曖昧になるとともに、亡くなった先祖の霊が現世に帰ってくると言われます。先祖の霊を出迎え、お盆が終わったらお見送りするという意味でもお墓参りが行われています。

お彼岸にはどんな意味があるの?お墓参りの知識

春分と秋分は太陽が真西に沈む日です。仏教で天国(極楽浄土)は西にあると言われており、太陽が真西に沈む春分と秋分は極楽浄土に一番近い日だと考えられていました。

春分と秋分があの世(天国、彼岸)にこの世(私たちが住む世界。此岸)が近づく特別な日であるからこそ、春分の日と秋分の日を中日として、お彼岸となりました。お彼岸は春分の日と秋分の日を間にして前後三日間の期間になります。

お彼岸は仏様が住む世界が現世に近づきますから、祈りを捧げることで悟りを開きやすくなると伝わります。もちろん亡くなったご先祖はあの世にいますから、あの世に近い日だからこそご先祖と私たちを繋ぐお墓に参るようになったのではないでしょうか。また、お墓で祈りを捧げることにより、昔の人たちは悟りに近づこうと考えたのかもしれません。現代のお墓参りはその名残と言えるのではないでしょうか。

お墓参りのタブーとは?

お墓参りは地方により持ち寄る供物やマナーが多少変わってくるところがあります。しかし、全国区である程度のマナーは共通しています。この共通するマナーをおさえておくことで、自分が住んでいる地域外へのお墓参りでNGな行動をしてしまうリスクが低くなります。

お墓は「自分だけのものではない」「冥福を祈る祈りの場である」という二つが大原則です。この大原則を踏まえた上で、共通するマナー違反・NG行為について見て行きましょう。お墓参りでやってはいけないことが二つの大原則に通じていることに気づかされるはずです。

供え物を置き去りにする

現在、お団子などのお供え物は持ち帰ってくださいというルールを定めているお墓が多いです。ゴミ対策や臭い対策、害獣対策のためです。

お墓にゴミ捨て場を用意しているところもありますが、用意していないところもあります。お供え物はお参りをしたらきちんと持ち帰るか、指定の場所で処分するようにしましょう。置きっぱなしにするのはNGです。

他家のお墓に入る

お墓は公共の場所です。自分の家のお墓があったとしても、周囲は公共の区画と他家のお墓の敷地です。他家は他家できちんと掃除をし、お墓を管理しています。他家のお墓にゴミを捨てたり、みだりに踏み入ったりしないようにしましょう。

騒ぐ・礼節を守らない

お墓は公共の場であると共に祈りの場でもあります。地域によってはお墓の前でお弁当を食べるなどの風習もありますが、基本的にお墓は宴会場や遊び場ではないという認識が必要です。これは自分の家のお墓に対してだけでなく、他家のお墓に対しても必要な認識です。

歴史上の偉人のお墓に参る人も、写真撮影やSNSで情報発信する場ではなく、祈りの場であるという認識と礼節をもった行動をすることが必要なのだという自戒が必要です。

最後に

お盆やお彼岸には意味があります。意味があるからこそ現代に生きる私たちは、お盆やお彼岸と聞くと「お墓参りをしなければ」と思うわけですね。

こうしてお盆やお彼岸のことを知ると、お墓参りがなお思い入れ深いものになるはずです。日本で大切にされてきたお墓参りの知識だからこそ、お墓でやってはいけないことと共に子供や孫に伝えておきたい知識です。

これを機会に、お墓参りや日本の風習について、改めて考えてみてはいかがでしょうか。考えてみることによって、改めて「お墓参りって大切だな」と思っていただけるのではないでしょうか。