知っておきたい葬儀と葬式の違いについて

人間の人生の最後の幕引きたる大舞台。それが葬儀です。

多くの方の中に、おそらく「葬儀は大変」「葬儀は難しい」「マナーはどうしたらいいの」・・・こんな思考があることでしょう。そして、葬儀は誰かの人生最後のイベントであり、厳粛な場であるからこそ、なるべくマナーやしきたりを守りたいと考えるのではないでしょうか。

多くの方の葬儀に関する「難しい」という印象はある意味その通りです。マナーや地方によって異なることがある上に、費用やかたちまで様々です。葬儀自体が「葬儀や葬式で困っているのですが」と問われても、葬儀に慣れた方ですら「葬儀や葬式は地域によって決まりごとが変わることがあります。地域のお年寄りや葬儀店に確認してはいかがでしょう」としか答えようがないことも珍しくありません。

しかも、葬儀や葬式での疑問はマナーや形態、費用だけに留まりません。用語についても、普段あまり使わないということもあって、疑問に思うことが多いのではないでしょうか。いざ葬儀や葬式という段になって「あれ?」と首を傾げることになることも。

今回は数ある葬儀や葬式の疑問の中から、用語についての疑問をピックアップします。皆さんは「葬儀」と「葬式」の違いを説明できますか。ピックアップする用語はこの「葬儀」と「葬式」という、似ているけれどちょっと違う単語についてです。

葬儀や葬式の用語は難しい!

葬儀や葬式にまつわるワードには、ややこしい単語がたくさんあります。代表例は「お別れ会」と「お別れの儀」などでしょうか。皆さんは葬儀や葬式の場でこの二つの言葉が登場した時に、即座に意味の違いを答えることができますか。「会」と「儀」の違いがあるから、何となくわかるような、わからないような・・・というあやふやな印象ではないでしょうか。

葬儀や葬式の用語「お別れ会」

葬儀や葬式の場で「お別れ会」という言葉を使った場合、親族やごく親しい友人で行われる故人の追悼会を意味します。

葬儀や葬式の場とは独立して設けられ、故人の思い出話に花を咲かせ、ゆったりとお話をしながら軽食をとったり、お酒を飲んだりすることが「お別れ会」です。一般的に葬儀や葬式が終わってから数週間くらいして落ち着いてから一席設けるという感じです。

もちろん、全てのケースにおいて「お別れ会」が行われるわけではありません。あえてこういった席を設けないお宅もたくさんあります。また、必ずしも発起人は故人の親族である必要もありません。

直葬などで故人をシンプルに見送って、後日、仲の良い同僚同士が居酒屋で一杯酌み交わす。和食のお店で旧友たちが故人を偲ぶ。これも一種の「お別れ会」と言えるでしょう。もちろん喪主だった者が声をかけることもあります。同窓生が声掛けして集まる場合などもあります。このあたりは比較的自由で、格式ばったものではありません。

宗教的な儀式というより、食事をしながらの語らいの場という性質が強くなるのが「お別れ会」です。

葬儀や葬式の用語「お別れの儀」

葬儀や葬式の場で「お別れの儀」という言葉が使われた場合は、出棺前の最後のお別れを指します。出棺の前に別れ花を故人の棺の中に供え、火葬を前に故人の顔を見る。これが「お別れの儀」です。「お別れの儀」が終わると棺が運び出され、火葬場へ向けて出発します。

「お別れ会」が会食的な性質が強いものであるなら、「お別れの儀」は葬儀や葬式に含まれる大切な一つの儀式です。

二つの言葉は似ていますが、葬儀や葬式の場ではまったく違った意味で使われています。ただ、葬儀や葬式の場で、これから別れ花を供えて出棺だという時に、遺族が「これからお別れ会で」と言ったとします。意味的には違うのですが、おそらく参列者たちは「お別れの儀」という意味で捉えるのではないでしょうか。

意味に合った使い方が大切ですが、時に葬儀や葬式の場では混同されて使われることがあります。間違いだと正すより、参列者に伝わることが大切なのではないでしょうか。

葬儀と葬式の違いとは?

葬儀や葬式の場では、他にも混ぜて使われる言葉があります。そう、それが「葬儀」と「葬式」なのです。皆さんは普段この二つの言葉に対してどのような使い分けをしているでしょうか。あるいは、使い分けなどせず、大体同じような意味で場面に合わせて使っているでしょうか。実はこの「葬儀」と「葬式」の二つの言葉は、まったく違った用語なのです。実際の葬儀の場でも、二つは区別して使われていることが多々あるのです。

  1. 「葬式」という用語の意味は?

    「葬式」は、通夜から告別式、そして火葬までの一連の流れを表す言葉です。人が亡くなってから一連の流れを経て儀式が滞りなく終了するまでを総合して「葬式」といいます。どこかの部分を切り取って表現している言葉ではありません。

  2. 「葬儀」という用語の意味は?

    対して「葬儀」は、通夜から火葬までの中で特に告別式のみを指す言葉として使われます。
    告別式とは、多くの人が葬儀と言われて思い浮かべる光景そのものです。お坊さんがお経をあげ、参列者が遺影を前にお焼香をする。これが告別式です。「葬儀」とは、特にこの告別式を指す言葉として使われています。

葬儀と葬式の使い分けは厳密ではない

葬式が通夜から火葬の終わりまでの長い一連の流れを指す言葉ならば、葬儀はその長い一連の流れの一部である告別式を指して使われる言葉なのです。

しかし、「葬儀」と「葬式」は似た言葉という印象がないでしょうか。一般的にも厳密に使い分けなければいけないというわけではなく、本来は「葬儀」と使う場面でも、「葬式」という言葉で十分に意味が通じることがあります。

例えば、本日これから告別式に出席する際に会社で「今日はこれから葬式に参列しますので」と言ったとします。言葉の意味を考えると「葬儀」なのですが、「葬式」でも意味は通じます。だからこそ、この二つの言葉は厳密に使い分けられているわけではありません。

まとめ

「葬儀」は一連の葬式の流れの中の主に告別式を指す言葉です。対して「葬式」は、葬儀や通夜などの一連の流れ全てを含んだ言葉です。「葬儀」と「葬式」にはこのように意味の違いがあります。もちろん実際の場では別々の用語として使い分けがなされていることも少なくありません。

ただし、「葬儀」と「葬式」は、よく混同されて使われます。厳密には意味が異なっていますが、必ず使い分けなければいけないというわけではありません。大切なのは意味通り使うことではなく、相手に意味が通じることです。ですから、「葬儀」を「葬式」という言葉で表現しても間違いというわけではありません。

故人とのお別れであるお葬式は、何より気持ちが大切です。言葉の使い分けも、同じようなものかもしれないですね。