自宅で葬儀を行う”自宅葬”のメリットや注意点について

自宅葬が注目されています。

自宅葬とは、「故人の自宅」や「喪主の自宅」で葬儀を執り行うことです。昔ながらの「家の仏間で執り行う葬儀」であると説明すれば想像しやすいでしょうか。この昔ながらの葬儀形態である「自宅葬」を自分や家族の望む葬儀として選択する方々が存在します。

自宅で葬儀をすることにはデメリットが多い印象があります。しかし、そのデメリットよりもさらに自分たちにメリットがあったからこそ、自分や家族の希望する葬儀のかたちとして自宅葬が選ばれているのです。

自宅葬にはどんなメリットがあるのでしょうか。また、自宅葬をする上でどんな注意点に気をつければいいのでしょうか。自宅葬の注意点とメリットに迫ります。

自宅葬の注意点とデメリットとは

自宅葬には「家を葬儀会場にすることによるデメリット」や、「自宅にどんな葬儀道具があるか把握しておかなければ葬儀自体を失敗する可能性がある」などのデメリットがあります。

自宅を葬儀会場にするということは、ひっきりなしに参列者が訪れるということです。「呼ばなければいいのではないか」と思うかもしれません。しかし、自宅の外に花輪を飾っておくと、近所の住人の目に必ず触れます。近所の人たちが花輪を見て亡くなったことを知った結果、手を合わせにやって来ます。近所の住人から話を聞いた縁者がさらにお線香をあげに自宅までやって来ることでしょう。

自宅を葬儀会場にするということは、「最も安心する場所」である自宅に、参列をお願いした人だけでなく、呼んでいない人までたくさん出入りするということです。仏間のみならず、時に「お手洗いを借りたい」と言われることもあり、仏間だけでなく、お手洗いや廊下まで綺麗に掃除しておかなければいけません。自宅葬の注意点、そしてデメリットとしては、こうした自宅を葬儀会場にすることによる苦労が挙げられます。

また、自宅葬をする際の最たる注意点として「自宅に道具を用意しなければならない」というものがあります。普段から、自宅に祭壇や葬儀用のお花などを準備しているお宅はまずありません。仏壇や線香立て、木魚などはあっても、葬儀用の祭壇を用意しているお宅もまずありません。葬儀には、普段自宅では使わないような道具をたくさん使います。

葬儀専用の会場だと、基本的に必要な道具はそろっています。葬儀屋と提携を結んでいたり、葬儀店そのものが葬儀ホールを管理していることも多いため足りない道具があればすぐに用意してもらったりすることも可能です。しかし自宅葬だと、自分たちで用意しなければいけません。

自宅葬の注意点として「葬儀のプロデュース力」や知識が試されるというものがあります。自分たちでどんどん葬儀の道具を発注し、準備し、効率よくこなすことが必要になります。自宅葬の注意点として気をつけたいところです。

自宅葬の注意点に気を付ければメリットもたくさん

反対に、前述した自宅葬の注意点に気をつけつつ、「自宅で葬儀をすることの利点」を最大限生かすようにすれば、自宅葬にはメリットが非常に多いです。

自宅葬での注意点を踏まえることにより生まれる自宅葬のメリットとは、「会場代を安く済ませることができる可能性」「自分たちの好きなように葬儀をカスタマイズできる」「家族葬にぴったりである」の3つです。それぞれを最大限メリットにできるよう、自宅葬の注意点と共にもう少し詳しく見ていきましょう。

1、会場代を安く済ませることができる可能性

葬儀費用の中で、お布施代、飲食代、そして会場代は大きな割合を占めます。特に会場代はその中でも最も大きくなる可能性のある費用です。会場代には一般的に葬儀ホール(葬儀会場)を借りる費用だけでなく、葬儀に使う祭壇などの使用量も含まれます。葬儀会場代には基本的に道具の料金も含まれていると考えてください。

日本消費者協会が2017年に行ったアンケートによると、葬儀費用の平均は約195万円となっています。このうち、会場代を含む葬儀一式の費用は約120万円になっています。かなりの高額です。この高額な葬儀一式の費用を削減するためには、会場代を削ることが効果的です。

自宅はもともと自分たちのものです。自宅で葬儀を執り行っても、自宅を借りるための費用は必要ありません。これは葬儀費用面で大きなメリットになります。

ただし、自宅葬では「葬儀用具を自分たちで準備しなければならない」という注意点があります。自宅葬にしても道具の選択やレンタル価格という注意点に気をつけておかなければ、かえって費用が増す可能性があります。

2、自分たちの好きなように葬儀をカスタマイズできる

自宅葬には自宅を使うことになるという注意点がありますが、この自宅葬の注意点を逆手にとって、反対に葬儀を自由にカスタマイズできるというメリットがあります。葬儀ホールではある程度、葬儀は決まった形式で行うことになります。しかし自宅であれば、道具さえ借りることができれば、自分たちの望むかたちに葬儀をカスタマイズすることができるのです。

ただし、カスタマイズするということは、葬儀に対してある程度の知識がないとできないということでもあります。自宅葬の注意点もよく把握し、労力がかかりすぎないか、費用面での負担は大きくならないかなどをよく考え、自分たちが望むかたちの葬儀にすることさえできれば、自宅葬の優れたメリットを感じられるはずです。

3、家族葬にぴったりである

家族葬とは、30人くらいの人数で行う小規模な葬儀です。名前から勘違いされがちですが、必ずしも家族だけしか呼ぶことができないというわけではありません。また、密葬とも異なります。「人数の少ない小規模な葬儀」「仏間でできるような規模の小さい葬儀」と解釈すればわかりやすいのではないでしょうか。

自宅に仏間のあるお宅は、仏間を自宅葬の会場に使うことができます。費用面でもメリットがある他、仏間が少人数での儀式に向いているというメリットがあります。

ただ、気になるのは自宅葬の注意点です。自宅葬の最たる注意点は「自宅を会場に使うことによるデメリット」です。入られたくない場所には仕切りを作るなど、自宅葬のデメリットを軽減するように注意することがメリットに繋がります。

最後に

自宅葬は注意点にさえ気をつければ、自分や家族の葬儀としてメリットのある葬儀です。自宅を葬儀会場にすることには困惑や拒否感がある方も少なくありません。一度、祖父母の葬儀として自宅葬を経験し、注意点に上手く生かすことができなかった経験から、自宅葬を嫌がる方もいます。

しかし、自宅葬には「会場代を安く済ませることができる可能性」「自分たちの好きなように葬儀をカスタマイズできる」「家族葬にぴったりである」などのメリットがあります。自宅葬の注意点さえ守れば、決して悪いものではありません。むしろメリットの多い葬儀形態になることでしょう。

自宅葬の注意点をおさえて、故人や遺族、参列者にもメリットのある自宅葬にしたいものです。自宅葬を検討しているなら、葬儀屋などに前もって相談しておくといいでしょう。より自宅葬の注意点を踏まえたメリットの多い葬儀になるはずです。