皆さんの中では、やはり葬儀費用はとても高額で大変な支出という印象があるのではないでしょうか。
日本の三大支出と呼ばれているのは「教育費」「住宅取得費」「老後資金」ですが、葬儀費用だって決して負けてはいません。
一般財団法人日本消費者協会が調査したところによると、葬儀費用の平均は約189万円でした。
しかし時代と共に葬儀事情も変わっています。最近はよく家族葬という言葉も耳にしますね。約189万円という金額はあくまで調査対象になったお葬式の平均費用ですから、全てのお宅に当てはまるわけではありません。
そこで考えたいのが、自分や家族のお葬式費用のことです。なるべく安く済ませたいとしても、安さにこだわって選んでいいの?安いことにデメリットはあるの?という気になるポイントを、最近のお葬式事情を交えて考えてみましょう。
目次
実は一番安い葬式会場は……自宅!?自宅葬という方法
葬儀をする上では、どこの家庭でも支出が大きな問題になります。お給料を全て葬儀に回せるならあまり悩む必要もないのですが、どうしても生活費やローン、教育費などの支出と合わせて考えなければいけません。
ご家庭によっては今まさに祖母の介護をしている最中に祖父が亡くなってしまうという、介護費用にダブルで葬儀費用の支出という困った事態になることもあり、葬儀費用をなるべくおさえたいと考えることは至って普通の思考と言えるのではないでしょうか。
ケチで言っているのではなく、他の支出も考えると葬儀に回すお金にも限界があるということです。
そこでやはり考えてしまうのは、葬儀を安く済ませるにはどうしたらいいか?ということです。実は、葬儀をとても安く済ませる方法があります。それは、自宅の仏間で葬儀をしてしまうこと。
斎場を使わないから費用が浮く!用意は自分たちで
自宅でとり行うので会場を借りる必要はなく、道具だけ借りればOKです。
葬儀店などでは自宅葬儀用の道具のレンタルをしているところもあります。必要なものを借りてくればいい話です。
地域や葬儀店の互助会があれば入会しておくと割引価格でレンタルできることもあり、さらにお安く済むこともあります。
後は自分たちで準備をして、病院から故人を搬送してもらい、お坊さんにお経をあげてもらって……という流れになります。
道具を借りて自宅でとり行う葬儀は会場の費用が不要になりますから、ほとんど人を呼ばずに家族だけで行えばかなり費用負担を抑えることができます。
お葬式は絶対に会場を借りなければいけないという決まりはありませんので、まず安さを求めるならこの方法が候補として挙がります。
しかし、こういった自宅葬には安さの裏に隠れた大きなデメリットがあるのです。
サポートもなく無休!家族だけで準備する葬儀
自宅で必要な物だけ借りて葬儀をしてしまえばレンタル費用、それから必要な備品を少し買い足すだけでOK!とてもお手軽!と思うかもしれません。
しかし自宅葬は費用を抑えることができる反面、大きなデメリットがあるのです。デメリット……それは、「大変」の一言に尽きます。そう、自宅葬はとても大変なのです。
誰かが亡くなると、葬式やお通夜以外にも人が訪ねて来ます。葬儀会場に遺体を安置してもらえれば、人は葬儀会場の方に行って手を合わせますが、自宅だと、四六時中人が訪ねてきます。
お茶を出し、お礼を言い、話の相手をしてとなると、まったく寝る時間がありません。
また、レンタルした道具を宗派に合わせて自分たちできっちり整えなければならず、葬儀屋さんの細々としたフォローも望めません。とても大変です。
もし自宅で行い葬儀屋さんに手伝ってもらうとなると、結局、会場を借りて行う葬儀と大差ない金額になるということも珍しくないです。
費用を抑えることは大切です。ただし「安い」を追求し過ぎてしまうと、
- 葬儀店(専門家)のフォローがない
- 備品からレンタル品まですべて自分たちで発注
- お客さんの応対も自分たち
という、デメリットが生じます。
料金が安いのも考えもの?親族負担とのバランス
費用が安いということは、その分だけ「自分たちが動かなければならない」「助けがない」「用意してもらえる道具も少ない」「貸してもらえる知恵も少ない」ということだと解釈すればわかりやすいですね。
また、助けがないということはその分だけ地域のお葬式に関するノウハウがないということでもありますから、安く済むと思っていたら結局高くついてしまったというデメリットに繋がる可能性もあることを覚えておく必要があります。
料金を考える上では、こうしたデメリットとのバランスが重要になります。
料金が安いということは基本的に自分たちでどんどん動かなければいけないということです。
料金が高くなるということは、式場や式自体の規模にもよりますが、基本的に葬儀屋側のお手伝いを期待できるということでもあります。
式場と道具だけレンタルで10万円というプランと、式場と道具込みプラス家の祭壇を組んで葬儀のお手伝い全般をするというプランで30万円であれば、デメリットを差し引いてどちらが料金面と遺族の労力面を総合してお安いか?と考えてみることが必要です。
安さにだけこだわってはNGということですね。
式場を使った方が安く済む?参列者の数にもよる
では、最近よく耳にする小規模なお葬式はどうでしょう。「家族葬」や「火葬場だけで済むお葬式」といった、料金が遺族に比較的優しい価格に抑えられているタイプのお葬式です。
昔のお葬式はそれこそ大規模なお葬式や自宅、お寺で行うそれなりの金額が必要になるタイプが多かったのですが、今はこういった小規模なお葬式を望む人も増えています。
実際、家族葬という名前が登場したのも、葬儀をあげる側のニーズあってこそというものです。
家族葬は別に家族だけで行うお葬式ではありません。
名前で誤解されがちですが、家族以外を呼ぶこともできます。数名から三十名くらいまでの、ごく小規模なお座敷でできるお葬式を想像するとわかりやすいですね。
縁の深かった人たちだけで故人を送る小さな葬儀が家族葬です。
この家族葬というタイプの葬儀は、大会場を借りてとり行う葬儀よりも料金が抑えられていることが特徴です。葬儀費用は会場の大きさや人数などの規模に比例することが基本ですから、規模が小さく呼ぶ人が少なくなればそれだけ費用がおさえられます。
少人数でお葬式がしたいということであれば、こういった家族葬のような葬儀をセレクトすることによって約189万円よりかなり費用面をおさえて葬儀をすることが可能です。
会場もそれだけ小規模なものになりますので、会場費用や祭壇費用も小さくなります。
葬儀会社の助力を得ながらする葬儀でも規模や会場に応じてプランを選ぶことで費用の削減をすることができるわけです。
必ずしも自宅葬が一番安くなるというわけではなく、会場設営や備品調達、労力を合わせて考えれば、総合的に小規模の葬儀を会場で行う方が安くなる可能性があります。
葬祭費用の安さにこだわるとオプションでびっくり!?
しかし、いざ小規模のお葬式をあげるとしても、葬儀会社によって価格にかなり差があります。どうやって選んだらよいのでしょう。
ここで思い出していただきたいのが、価格が低いことと遺族の労力が増えることは基本的にイコールであるというデメリットです。
ただ安さだけを追求してしまうのはNGで、その価格にどれだけのものが含まれているかを込みで考え、比較することが重要です。
家族葬20万円のプランでも、会場と道具のレンタルだけであれば家族はお客さんの応対などをとても頑張らなければいけません。
また、こういった基本料金だけのプランは故人の搬送や棺のグレードアップ、花の追加、故人を葬儀までの間に安置してもらうことなどに対しオプション料金が加算されることが基本です。
対し会場と道具、花の追加や故人の搬送も込みで30万円であれば、基本料金20万円にオプション料金をプラスして考えなければならないプランと比較すると最終的に費用をおさえることが可能になることも多いのです。
葬儀費用を考える上では字面の価格に惑わされず、
- その価格はどんなものが含まれているの?
というところを追求してゆくことによって、本当に安いかどうかがわかるようになっています。
あれもオプション!これもオプション!
そんな価格設定だとかえって高上りになることも多いですから、葬儀費用を考えるなら「それはオプション?」「どこまでの値段?」「家族はどれだけ動かなければいけないの?」という疑問を常に持ち、基本料金の安さだけで比較することはNGだと覚えておきましょう。
まとめ
安いということは、それだけ遺族が頑張らなければいけない場面が多いということと同義です。安いと労力が増え、それだけ葬儀会社側の助力は期待できないということは覚えておく必要があります。
葬儀会社側の労力や備品発注などの手間が減るからお安いということは基本知識として頭の片隅に置いておきましょう。
葬儀の安さを求めるには、基本料金だけでなく「どこまで込みなの?」「オプションでどんどん料金が加算されるのでは?」「どこまで家族がやらなければいけないの?」も付加して検討しましょう。
ただ安いだけでなく、家族の負担を減らしてくれ、かつ、葬儀セットとのバランスの取れた葬儀こそが、本当の意味で安さにこだわった葬儀ではないでしょうか?