お墓を継承するには

皆さんの中では「お墓」というものはどんな印象でしょうか。これは、地縁や親族関係の深い人や年代によって印象がかなり変わってくるかもしれません。深い地縁と親密な親族仲を当然として育った人は「お墓は一族で守ってゆくもの」という感情を持っているかもしれません。反対に親族がそれぞれ遠方に散っており、お墓も遠方にあるという人はこまめにお墓のお世話をして一族で代々守るという印象はあまりないかもしれません。

先祖代々守ってきたお墓も、近年は放置され管理者がいない状況も珍しくないといいます。中には自分の家のお墓がどこでどうなっているか把握していない状況もあるとか。

お墓についての考え方が少しずつ変わってきているのかもしれません。しかし、考え方が変わってきているとしても、お墓は一族の人間が最後に眠る場所であることに変わりはありません。家族や親族に思い入れがあれば、自然と最後の場所であるお墓について思いを馳せる機会も出てくることでしょう。日本の多くの人は最終的に人生という大仕事を終えてお墓でお休みします。自分も何時か眠る場所と考えれば、自然と「お墓」というものについて考えてしまうのではないでしょうか。

こちらの記事を開いてくださったということは、お墓について少し考えてみようという気持ちではないでしょうか。思い立ったが吉日という言葉があります。お墓についてお話するのに吉日という言葉は不釣り合いな気もしますが、せっかくの機会ですからお墓について少しお勉強してみませんか。今回は、数あるお墓の問題の中の一つ「お墓の承継」についてお話させていただきます。

祭祀財産とは?お墓の基礎知識

お墓を受け継ぐために第一に覚えておきたいことは、お墓とは「祭祀財産」という特殊な存在であるということです。この祭祀財産に含まれるものは、他に仏壇や神棚、お骨、位牌などがあります。つまり、信仰や神や先祖を祀ることに関わるものが祭祀財産に含まれることになります。

祭祀財産は一般的に相続財産には含まれません。預金や不動産、株などの有価証券は財産の持ち主が亡くなると相続人に相続される相続財産(遺産)です。皆さんの中には、誰かが亡くなると相続人が財産を受け継いで・・・という印象があるのではないかと思います。実際、その通りです。預金や不動産といった遺産は相続人が相続人の順位ごとに定められた分割割合に応じて相続することになります。

遺言書がある場合は基本的に遺言書に従いますし、遺産分割協議をすれば相続人同士が話し合って遺産の分割を決めることができます。「遺された財産」は分割割合や家族ごとの事情は違えども相続人が受け継ぐものなのです。

しかし、世の中には財産ではあるのですが相続財産に含まれないものがいくつか存在します。相続財産に含まれないものの代表格は「一部の権利」です。債権などの権利は相続対象になります。しかし、国民年金の受給権といった亡くなった本人だけが行使できる権利は相続の対象にはならないのです。

他にも相続の対象にならない財産があります。それが「祭祀財産」なのです。

お墓は遺産ではない!相続税の課税対象外

祭祀財産は相続財産に含まれません。相続財産でないということは、お墓は相続税の課税対象にはならないということです。お墓だけでなく、仏壇や遺骨、位牌、神棚などの同じく祭祀財産に含まれるものは相続税の課税対象にはなりません。

想像してみてください。亡き父親が守ってきたお墓を息子が受け継いだとします。他にも預金や土地を相続しました。算定してみると、遺産には相続税が課税されるようでした。しかし、預金は僅かで相続税を支払うだけありません。土地を換金しようとしてもまったく買い手がつきません。ここで「それではお墓を売って相続税を払ってください」という話になったらどうでしょう。大変ではないでしょうか。先祖代々守ってきたお墓なのに、相続税を支払うために換金しなければならなくなってしまいます。お墓や仏壇に課税するというのは何だかおかしな話ではないでしょうか。

もちろん、お墓を純金製にして各所にダイアモンドを埋め込んだということであれば、税務署は「税金逃れでは?」と首を傾げることでしょう。このようなケースはほとんどないでしょうが、普通のお墓を家族・親族が普通に受け継ぐことについては相続税の対象にならないということです。

また、祭祀財産は相続のように相続順位に従って分割という考え方はしません。相続財産ではないからです。相続財産であれば相続順位に従って預金や不動産を分割しますが、お墓や仏壇は分割対象外です。想像してみてください。亡き父親が守ってきたお墓を二人の息子が相続するとします。息子たちの相続分はそれぞれ1/2ずつでした。お墓が相続財産なら、お墓を二人で真っ二つにすることになります。これもおかしいのではないでしょうか。

お墓や仏壇は一族で代々守ってゆくものであり、遺産という枠組みの中には入っていないのです。

お墓は長男が継ぐものなの?お墓の承継問題

お墓などの祭祀財産は相続財産に入っていませんから、相続人かどうかに関わらず自由に受け継ぐことができます。基本的には相続財産とは別に祭祀財産の継承者を定めることになります。この祭祀財産の継承者はもちろん相続人でもいいですし、相続人にならなかった親族でも構いません。長男でなければならないという決まりもありません。

祭祀財産の継承者は故人が生前に継承者を指定しているのであれば、その者が受け継ぎます。指定がなければ慣習に則って決めます。赤の他人と親族がいるなら、慣習として考えるなら親族の方が受け継ぐに相応しいはずです。

指定された場合には事情に関わらず絶対に受け継がなければならないというわけではありません。受け継ぐものに事情がある場合は親族間で話し合って決めても差し支えありません。最終的に「誰が受け継ぐか」をきちんと決めることができればそれでいいということです。

祭祀財産を受け継ぐ者が決まらなかった場合は、裁判所に申し立てて決めてもらうことも可能です。お墓を受け継ぐ人がいない。親族間で揉めている。こんな場合は弁護士などに相談するのがいいでしょう。

最後に

お墓は祭祀財産という「相続財産ではなく相続税の課税もない」「相続人が分割しなくていい」という遺産とは別枠の財産になります。世間ではよく長男が家と一緒に受け継ぐものという話を耳にしますが、決してそうではありません。第一に指定された者が継承し、指定がなければ慣習に則って受け継がれます。この「慣習」で考えると、やはり亡くなった人と同居していた人や家を継いだ人という考え方に結びつきやすいですから、結果的に「長男が継承するもの」という考えが根付いているのかもしれません。

お墓は先祖代々大切にしてきたものです。しかし、各家庭には事情があります。墓の移転や墓終いも時に仕方のないことではないでしょうか。お墓のことも将来を見据えてしっかりと考えていきたいですね。

宇都宮市民葬祭

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